シリーズ人〜human〜
第4回、『日本のトップチームに在籍して』
はじめに20期の橋本と申します。大学時代からアメフトを初め、WR歴9年目になる選手です。 先日、17期の丹野さんよりこのコーナーへの執筆依頼を受けまして、 比較的文章を書くことが好きな私は安易に引き受けました。 が、タイトルの重みやその内容、加えて同チームに在籍する18期池元さんのことを考えますと、 私が文章を書くなどおこがましいのではないかと思わずにはいられません。 あくまでも私の「つぶやき」程度に読んでいただきたいものです。 これを読むことが、少しでもPrimrose(プリムローズ)現役選手の役に立つなら嬉しい限りです。 シーズンスタートつい1時間ほど前にあったことからお話ししようと思います。 私が在籍する鹿島ディアーズというチームは毎年オフの時期に面接を行うのですが (詳しくはhttp://www.kajima.co.jp/deers/)、私にとっては、 この面接というものからシーズンインという気になります。 それだけ面接後には気持ちが引き締まっているということなのでしょう。 今年の面接も例年どおりコーチと行われ、昨年に引き続き森ヘッドコーチと行ってきました。 その内容ですが、@昨年の反省、A今年の目標、Bチームに対しての意見、 などの基本的事項が主なテーマです。選手が考えているそれらの内容について、 森ヘッドは適切に、明快に、そして詳細に意見を伝達してきます。 その言葉の一つ一つに説得力があり、 名コーチたるべき条件を備えている人物なのだろうと考えずにはいられません。 私のみならず、他の選手も同様の考えを持っており、 「名宰相」の存在はチームにとって欠かすことができないものとなっております。 驚 愕私が鹿島ディアーズの一員となったのは、2000年シーズンからですが、 そこにはあらゆる驚きが隠されていました。 中でも一番の驚きは計画の綿密さです。 チームの目標が遂行できるように考え抜かれた計画表があります。 半年先までの予定はすべて決められています。たいした事ない様にも思えますが、 選手はそれを見れば試合まであと何回練習が出来るか、を判断することができるし、 自分の細かい目標(いつまでにスキルを身に付ける、といったことなど)も立てられる。 これらはチームの目標や個人の目標がはっきりしているために行えるものなのだと思います。 計画の話はまだあります。更に驚いたのは、 時間まで区切られた1回1回の練習メニューも選手には事前に伝えられることです。 正確に言うとメニューだけではなく、 その練習日に行われるスケルトンの内容やスクリメージの内容までもが事前に決められています。 これもたいした事ではないと思われるかもしれませんが、 事前に内容を決めるだけでその目的が明確化し、また選手も目的を理解し下準備をすることができます。 スケルトン前に行われる単なるランパスの練習でさえ目的をもって走り、 パスを捕ることが出来る。 これを毎回続けていたらどういうチームに仕上がっていくかは明快になると思います。 選手にしても、コーチにしてもチーム全体が「目標」を理解し、 それを実現するために「計画」や「準備」を怠らないようにしているのです。 ![]() 挑 戦鹿島ディアーズには、すばらしい選手がたくさん存在します。 すばらしいと一言で表現してしまいましたが、いろいろな意味があると思います。 足が速い、ボールを捕球するのがうまい、なかなか倒れない、などなど。 現在、チームの練習は週に3回行われています。東京の調布の地で、 平日は19:00からスタートし約2時間の練習を行います。 週末は昼間から3時間〜3時間半程度でしょうか?一日当たりの練習量を比較したら、 他のチームとほぼ同じくらいだと思います。そんなチームがたくさんある中、 ディアーズの選手はいかにしてパフォーマンスの向上を図っているのか、努力をしているか? 数ある努力の中で一番目立つのはアフター(練習後の練習)です。 ポジションごとのアフターから、個人のアフターまでさまざまです。 非常に疲れた体を振り絞って行うアフターはしんどいものです。 また、ビフォアー(練習前の練習)についても同様です。私の記憶ではアフターにしても、 ビフォアーにしても、全くしていないで練習を終えた日はないと思います。 ここで重要なことは、"それだけ俺らはアメフトがんばってるんだ"という精神的なことではなくて、 個々の選手が少しでも試合で使える能力を備えるために努力しているということです。 個人的な意見ですが、あるスキルを身につけるためには、練習以外の練習で自分なりに苦悩し、 熟考し、努力することしかないのではないでしょうか? チームの全体練習は、個人の能力アップを図るというよりも、 チーム力を向上させることが一番の目的であり、個々の選手は、 アフターやビフォア−で養ったパフォーマンスを試したり、 発揮したりする(アピールする)場と私自身考えています。 足が速い、ボールを捕球することがうまい、なかなか倒れない・・・、 そんな能力を備えた選手はどこにでもたくさんいます。同じ人間である以上、 能力の差はなかなかつきませんが、それを理解したうえで、 選手は常に上を目指した「挑戦」をしているような気がします。 チームにはそんな選手がたくさん所属しており、私の目から見ると、 「すばらしい」選手ほど貪欲になってたくさんの苦悩をし、 それらの努力を行っているように思えます。 プリムローズの選手に対して望むこと埼玉大プリムローズの選手に期待を込めて、生意気ですが最後に一言書かせていただきます。 私はプリムローズを引退してから5年ほど経ちます。 卒業後1年間のブランクののち、Xリーグ2部のゴールデンゴーズでの練習生を経て、 Xリーグ2部のシャークスに在籍し、今のチームに所属しています。どこのチームもすばらしく、 そこで泥まみれになったことは今でも経験として大いに役に立っています。 いろいろなチームを渡り歩き、私が見てきた限りでは、 どこのチームもしっかりとした信念のもとに運営していることがわかりました。 たまたま私は鹿島のチームに所属していますが、チームそれぞれの目標は違っても、 目標を追い求めることについては、共通する部分が多々あると思います。 今回、ディアーズの話をいくつか紹介しましたが、 それらの話はプリムローズにとっても役に立つのではないか? というものを考えました。 チームには支柱が必要です。学生主体のプリムローズにとって「名宰相」のコーチはいなくとも、 「名大将」は必要です。主将はもちろんですが、 個々の選手もどんどん頭角を表せるようなチームは相手チームにとって脅威です。 また明確な「目標」に対する、綿密な「計画」や「準備」は選手にやる気、 チームに活力を与えるはずでしょう。そしてそれらを実行し、 あくなき「挑戦」を貪欲に行ってもらいたいと思います。 そういったチームの姿が、本当に勝つためのチームの在り方ではないかと思います。 たくさんの生意気な意見を書いてしまいましたが、私も現役の選手である以上、 プリムローズ選手以上に気合いを入れて練習に取り組もうと考えております。 ちなみに私の今シーズンの目標は「得意技の模索」です(どうでもいいでしょうが・・・)。 機会があれば、そして私でよければ先日のように、 グラウンドにてクリニックもさせていただきます。皆さん、お互いに今年もがんばりましょう。 ![]() |