ゲーム解説


1Q

 獨協大学はパスとランをバランス良く配合させてディフェンスに的を絞らせない、 どちらかと言えばウェストコースト的な攻め方を得意としている。 しかし、パスの精度は決して高くはない。 ランプレーさえきちっと止めることが出来れば、 そこそこの試合展開は望めるだろうとは予想していた。 前半戦はまさに、ランは少々出されるが要所は押さえると言う理想的な展開が出来たと言えよう。

 先制したのはPRIMROSE(プリムローズ)。 獨協大の1stシリーズを自陣39ヤード地点で止めると、 その返しのシリーズでFB生嶋(2年生)へのショートパス、 スロットの位置に入った小笠原(3年生)のオープンプレーなどで敵陣に入り込み、 最後は4thダウンまで追いこまれるも、 FG(フィールドゴール)体型からのスペシャルプレー(パス)が決まって先制TDを奪う(7対0)

 その後、1Q中盤の獨協大の攻撃において、 3rdダウンロングのシチュエーションでロングパスを決められ、 一旦は同点(7対7)に追いつかれるが、 この失点に関しては『交通事故』的な失点であり、 モメンタムを持って行かれる程の威力のあるものではなかった。

2Q

 2QはPRIMROSEのオフェンスが主導権を握る。 序盤、FB生嶋や大沢(3年生)のダイブ、 TB小笠原のオープンそしてQB佐々木(3年生)のスクランブルなどフィールドをいっぱいに使った攻撃を展開して敵陣深くまで攻め込むと、 最後はTB小笠原が右カウンタープレーから2本目のTDを奪う(キック失敗で13対7)。 さらに圧巻は自陣30ヤードから始まった攻撃で、 TB小笠原が左トラップ・プレーから70ヤードを一気に走りきってTD。 キックも成功して20対7と一気に相手を突き放すことに成功した。

 その後もLB生嶋のインターセプトが飛び出すなど、 ディフェンス陣がきっちりと相手攻撃を押さえ、 初勝利に向けて万全の前半戦が終了した。


3Q

 前半戦と一転、波乱万丈の後半戦がスタート。 初勝利への焦りからか、ミスが目立つようになった。 最初のミスはパントのスナップミスだ。 このミスは直接失点には至らなかったものの、 フィールドポジションを悪くする結果に繋がる・・。

 双方パントが続いた後の3Q中盤、 フィールド中央(ハーフ)から獨協大の反撃が開始された。 TBのドロープレーが30ヤードのロングゲインとなり、 一気にPRIMROSE陣内に攻め込まれると、 最後はTBにトラップ・プレーから20ヤードを力強くゲインされて僅か3プレーでTDを許してしまった(20対14)。 前半戦の交通事故とは違い、 この失点は明らかにモメンタムのうつろいを感じざるを得ない失点であった

 早く終って欲しいと願う筆者の願いも空しく、 更に悪夢は続く。 3Q終盤、2つ目の大きなミスが起こる。 獨協大の攻撃をパントに追い込んだのもつかの間、 パントのボールをリターナー小笠原がファンブル。 このボールを獨協大がリカバーして、 PRIMROSEは一瞬にして自陣30ヤードと苦しい状況を強いられることとなった。 そしてクライマックスは最終4Qへと持ちこまれたのである。


4Q

 獨協大はこのチャンスを逃さなかった。 TEへのショートパス、スウィープそしてQBのキープ・プレーと小刻みに前進。 PRIMROSEディフェンス陣も必死に食い下がりゴール前1ヤードの攻防までもち込む。 『止めてくれ』という願いも空しく、 最後は力勝負のダイブ・プレーをねじ込まれてTDを献上、 キックも慎重に決められてついに逆転を許してしまった(20対21)。 結局、試合はこの失点が決勝点となり終了した。


総括

 前節同様、ミスが命取りとなる展開となってしまった。 ここに記載されているミス意外にも特にバックフィールドにミスが目立った。 体力的な問題、精神的な問題、原因にはいろいろあると思う。 しかし、試合中はその原因の追求よりも、 そのミスを取り返す事に全力を尽くして欲しい。 『ミスを取り返す精神力』こそが試合中に生きてくる。 今のPRIMROSEにはミスをしたらそこで終っている選手が多い。 試合終了のホイッスルを鳴らすことが出来るのは、あくまで審判だけである。

(文:17期 丹野)

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