ゲーム解説


1Q

 PRIMROSE(プリムローズ)は試合開始早々、武蔵大リターナーに64ヤードのビックリターンを許し、 のっけから自陣15ヤードと大ピンチに陥る。 春の彼等から想像すれば失点は避けられない・・と誰もが思ったであろう。 しかし、今日のPRIMROSE守備陣は違っていた。 1stダウンからアグレッシブな守備を展開、相手の看板プレーでもあるパワープレーをことごとく止め、 3rdダウンにはDEの位置に入った小笠原(三年生)のQBサックも飛び出すなど合計13ヤードをロスさせる。 続く4thダウンでフィールドゴールを選択した武蔵大はこれを失敗して、PRIMROSE守備陣はこのシリーズを無得点に抑え、 上々のすべり出しをきった。

 良い雰囲気でディフェンスからバトンタッチされたPRIMROSEのオフェンスシリーズはTB小笠原、 相川(二年生)のラン、TE大澤(三年生)へのショートパスなどで小気味よく前進し、 敵陣19ヤードまで迫る。 ここでWR高橋(一年生)への意表をついたリバースプレーで相手に揺さぶりをかけようと試みるも、 相手ディフェンス陣の素早い集まりにボールをファンブル、 あっけなくターンオーバーを喰らってしまう。 一年生WR高橋にとっては、ほろ苦い公式戦デビューとなった。


2Q

 ライン戦で優位にたつ武蔵大が本領を発揮、 RB陣に次々にボールを持たせ50ヤードをドライブ、 最後は相手QBに25ヤードのTDランを許し先制されてしまう。

 その後、膠着状態が続き見せ場は2Q終盤のPRIMROSEのオフェンスシリーズに訪れる。 TB小笠原のドロープレーをきっかけに敵陣30ヤードまで前進すると、 一年生WRの高橋に24ヤードのロングパスがヒット、 一気に相手ゴール前7ヤードまで迫る。 ここでPRIMROSEはパスを選択、 QB佐々木(三年生)から投じられたボールはFB生嶋(二年生)が丁寧にキャッチし、 そのままエンドゾーンへ駆け込んでTD・・かと思われた。 が、今度はファールマーカー(イエローフラッグ)が出ている。 反則はWR高橋のイリーガルシフト、TDは幻に終わり、前半は0対7で終了した。 期待の新星、WR高橋の明と暗がくっきりと出た前半戦だったといえよう。


3Q

 後半に入り最初に見せ場を作ったのはPRIMROSEのオフェンスだった。 武蔵大のキックオフ直後のシリーズでTB小笠原が右カウンタープレーから54ヤードを一気に走りきってTD。 キックも決まり幸先良く同点に追いつくことが出来た。

 しかし、武蔵大も負けてはいない。 その直後のシリーズでスウィープ・プレーを中心に丁寧にオフェンスを組み立ててきた。 結局、54ヤードをドライブされてTDを奪われる(7対14)。 相手のスウィープが軸になり始めた。


4Q

 最終クオーター序盤、武蔵大の攻撃。 スウィープでオープンに振った後は一転してダイブを中心に組み立ててきた。 じわじわと前進されてゴール前まで攻め込まれる。 スウィープか、ダイブか、頭は完全にランプレーに傾いていた。 そこへ意表をつくTEへのプレーアクションパス。 完全に一本取られたという感じである(7対21)。

 いつもなら完全に気落ちしてしまうPRIMROSEの選手たちだが、 この日は気力も体力もまだ続いていた。 そのお返しのシリーズは自陣25ヤードから。 FB生嶋のダイブ、QB佐々木のスクランブルで敵陣まで入ると、 最後は4thダウンまで追い込まれるも、 エースRB小笠原がQBからのピッチプレーで41ヤードを巧みに走りきってTD。 キックも決まり14対21と追い上げる。 まだ時間は十分にある。次のシリーズさえ抑えれば・・・。

 武蔵大は当然のことながらボールコントロールに徹してきた。 PRIMROSE守備陣も最後の踏ん張りを見せ、 自陣30ヤード地点で4thダウン5ヤードまで追い込む。 これを抑えれば・・。 期待が高まる中、武蔵大が選択したギャンブルプレーはブーツレッグからのQBラン。 このプレーはスカウティングもしていたし、 前半にも1度ロングゲインを許していたため、 当然選手たちの頭の中には残っていたに違いない。 しかし、この局面で一瞬だけ、 ほんの一瞬だけ心のどこかに置き忘れていたのだ。 ところが、その一瞬が選手たちの緊張の糸を断ち切るのには十分すぎる時間となってしまったのである。 このギャンブルプレーは成功し、武蔵大はもう1TDを追加、14対28の最終スコアで試合は終了した。


総括

 獲得ヤードの差(270yd対311yd)からいっても、 惜しい試合を逃したと思う。 しかし、『勝たなければ意味がない』のである。 この言葉の意味を理解している人間が今のPRIMROSEに何人いるだろうか? (あくまで広い意味でだが、)勝つためには何でもありなのである。 もっと熱くなれるはずだ。残り4試合の健闘を祈る。

(文:17期 丹野)

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