ゲーム解説1Qこの試合を落とした方が下位リーグとの入替戦というサバイバル・マッチ。 文字通り試合開始早々から火花が散りまくる展開となった。 1Qから2Qの序盤にかけてはお互いのディフェンスが奮起する。 PRIMROSE(プリムローズ)ディフェンスが激しいチャージを 相手QBに食らわせてファンブルを誘発すれば、 成城大ディフェンスもエースRBの小笠原(#80・3年生)に 激しいタックルを浴びせてファンブル・フォースのお返し、 成城大がPRIMROSE陣38ヤードから4thダウン24ヤードのシチュエーションで ギャンブルを仕掛ければ、 PRIMROSEも敵陣34ヤードで4thダウン8ヤードのギャンブルのお返しと (いずれも失敗)、 お互いが得点することに対して今までにない執着心を見せる展開となった。 2Q先制したのはPRIMROSE。 自陣47ヤードから開始された攻撃でTB小笠原がパワープレーを軸に5回連続のボールキャリー。 最後はスウィープから右オープンを強引にえぐってTD。 ノドから手が出るほど欲しかった先制点をもぎ取ることに成功した(7対0)。 しかし、この大事な局面で成城大もそう簡単にキレることはなかった。 その返しのシリーズで、 左カウンター・プレーから相手TBに62ヤードをほぼ一直線に走られて僅か1プレーで 同点に追いつかれてしまう(7対7)。 さらに畳み掛けるように2Q終盤、 TBのカウンターを軸にTEへの35ヤードのプレーアクション・パスを 決められるなど、しぶとく前進された末に逆転に成功されてしまう(7対14)。 残り時間も僅か、 このまま前半が終了すると思いきやPRIMROSEオフェンスが奮起してくれた。 自陣20ヤードからFB生嶋(#37・2年生)のダイブを中心にハーフまで前進すると、 パワープレーでインサイドに突進したTB小笠原が右オープンに走路を見つけて51ヤードのTDラン。 なんとか前半を同点で折り返すことが出来た(14対14)。 3Q後半、先に点を取ったのは成城大。 前半キー・プレーとなっていたTBのカウンターを軸に、 途中4thダウンでパント・フェイクからのギャンブル・プレーを 成功させるなど、実に15プレーを費やして合計56ヤードを前進、 最後は30ヤードのFGをきっちりと決めて再逆転に成功する(14対17)。 しかし、振り返って見ると成城大はこの時点で確実に攻めあぐねている状態にあったように思える。 本来ゲームプランの中心に据えておきたかったであろう『オプション』が PRIMROSEの強弱をつけた守備によって完璧にとは言わないまでも、 リズム良くゲイン出来ていない状態だったように思える。 このシリーズでもPRIMROSE守備陣はオプションに展開した時は 4度のロスタックルに成功している。 その分相手は確実に中央のカウンター・プレーに逃げていたと言えよう。 4Q最終Q(クォーター)はPRIMROSEの逆転から開始。 KR生嶋の34ヤードの好リターンをきっかけに、 途中の4thダウン9ヤードのピンチもTE大澤(#29・3年生)への プレーアクションパスを成功させるなど、 しぶとく前進して最後はTB小笠原の7ヤードのTDランに繋げる(21対17)。 しかし、成城大もすぐさま反撃。 最後の意地を見せ、オプション、カウンターを軸にじわりじわりと前進。 これに対しPRIMROSEディフェンスも必死に食い下がりPRIMROSE陣内19ヤードの地点で オプション・プレーに素早く反応して4ヤードのロスタックルに成功する。 シチュエーションは2ndダウン14ヤード。 ここで成城大はシンプルにレシーバーのマンパワーに賭けて来た。 この日一度も縦を抜かれていなかったCB小笠原だったが、 相手はここ一番というところで最高の集中力を発揮してきた。 敵ながら天晴れの形で再逆転(21対24)。 残り時間3分少々。 PRIMROSEの逆転をかけたシリーズがここから開始されることとなった。 自陣42ヤードからの1stプレーはTB小笠原のパワープレー。 18ヤードをゲインして敵陣に入る事が出来た。 その後FB生嶋のダイブとTB小笠原のパワープレーで合計11ヤードを前進するも、 敵陣29ヤードの地点で3rdダウン9ヤードまで追いこまれる。 ここで先ほど4thダウン9ヤードのギャンブル・パスをキャッチした TE大澤が再び17ヤードのパスをキャッチ。 逆転への望みを繋げる大きな大きなパスキャッチとなった。 そして最後はやはりこの人、TB小笠原だ。 スウィープ・プレーから左オープンを一気に走りきって12ヤードのTDラン。 見事な逆転ドライブの完結となった(28対24)。 最後は1分少々攻める時間を相手に残したが、 守備がきっちり抑えて接戦の末にPRIMROSEは今季初勝利をもぎ取った。 TB小笠原はこの日、28回キャリーして249ヤードの大車輪。 彼の走りはもちろん素晴らしかったが、 その殆どはパワープレーを中心とするインサイドのランプレーだったことを 考えれば、FBを含めたラインメンは本当に良い働きをしてくれたと思う。 まさに全員フットボールがもたらした勝利だと思う。 総括初勝利おめでとう。 春のオープン戦から数えて全くの初勝利、 20人足らずのこのチームで勝利していくことの厳しさを 身を持って知ったシーズンであったのではないか。 とても苦しかったと思うが最後に4年生は大きな仕事をしてくれた。 4年間お疲れ様でした。 下級生はこの試合の直後からもう来シーズンが始まっている。 1つ1つ、少しずつでも良い。今年よりも良いチームを来年は作ろう。 そしてそれを受け継いでいこう。強いPRIMROSEを目指して。 (文:17期 丹野) BACK |