ゲーム解説6月29日。 この日はPRIMROSE(プリムローズ)の選手たちにとって決して忘れては ならない日となってしまった。 現状の自分たちの力を痛いほど思い知らされたのだ。 格下相手に敗北。春の総決算のつもりでこの試合に臨んだ選手たちは何を思い、 そして今後彼等はどう変わっていくのだろうか。 この日の千葉大の選手たちは立派だった。 この試合にかける意気込みがすごく伝わってきたし、 何か一体感のようなものが反対側のベンチにいた筆者にすら、ひしひしと伝わってきた。 先制したのは千葉大。キックオフ直後のシリーズ。 FBのダイブプレーを中心に、小気味よくゲインを重ねてはフラットゾーンへパスを通す。 この日のPRIMROSE守備陣をイライラさせたのはまさにこの展開だったろう。 ダイブはロングゲインは許さないもののフレッシュは許してしまう。 パスはプレッシャーをかける前にフラットゾーンに通されてしまう。 要するに敵は網の中には居るのだが、その網の中で最大限にゲインを許してしまっているのだ。 縦への突進力、そして何よりもボールへの執着心の無いPRIMROSE守備陣の弱さを浮き彫りにさせたのが この日の千葉大オフェンスであったと言えよう。 結局このシリーズは自陣23ヤード地点で、そのダイブプレーのフェイクからTEにクイックパスを決められ、 あっさりTDを許してしまった(0−7)。 仕切り直しのPRIMROSEのオフェンスシリーズは自陣35ヤードから。 格上として堂々とゲインして欲しかったところだが、 相手の度重なる反則に助けられてようやく敵陣に入る。 この辺からようやくTB小笠原(3年生)のパワープレーがゲインし始めて、 ゴール前3ヤードまで迫る。ここで千葉大ディフェンスは6メンフロントを敷いてきたが、 最後はTB相川(2年生)がその大外をスウィープで捲くってTD。 やれやれという感じで6点を返す(キック失敗で6−7)。 その後も千葉大オフェンスは好調をキープ。 相変わらずダイブが止まらない。 そしてTEへのピンポイントのパスが決まる。 じわじわとゴール前まで持って行かれ、 最後はTBへのピッチプレーでTDを取られ突き放される(6−14)。 誰が見ても一目瞭然であったろうが、PRIMROSEディフェンスはかなり雑である。 ブリッツホールが当っていてもランナーにかわされ、 プライマリーで守っているにもかかわらずワイドオープンが頻発している。 マンパワーで負けているわけではないので、要するに『雑』なのである。 ディフェンスに関しては、今後これらのツメが相当必要になってくるだろう。 その後、前半は双方が1TDを追加して。12−21のスコアで終了する。 後半になって最初にチャンスを掴んだのはPRIMROSE。 KR佐々木の21ヤードの好リターンで敵陣45ヤードからの攻撃権を獲得し、 TB小笠原のパワープレー、FB谷中(3年生)へのパスなどで前進。 敵陣21ヤードまで行ったところで4thダウンとなるが、 最後は1年生キッカー高橋の29ヤードのFGで3点を追加する(15−21)。 これまでの試合でFGのチャンスに恵まれなかった高橋にとっては、 当然、生まれて始めてのFGということになる。 距離は短かったとは言え、プレッシャーに負けることなく良く決めたと言えよう。 PRIMROSEは次のシリーズも千葉大をパントに追いやり、 いよいよ逆転を賭けてのシリーズが始まった。 自陣45ヤードからのこのシリーズはTDに至るまでに11プレーを要したが、 その内7プレーをエースRBの小笠原がキャリーした。 このシリーズは彼の踏ん張りを見たような気がする。 実に見応えのあるシリーズだった。 インサイドをブロッカーを使って丁寧に突いていく。 こういう走りが11人の信頼関係を築き上げ、更には大きなものにしていくのだ。 最後は12ヤードのスウィープ・プレーだが、 これも緩急を使って味方のブロック力を引き出させる良い走りが出来ていた。 しかし、逆転のはずのこのシリーズはPATが失敗に終り21‐21の同点で終ってしまう。 本日3回目のPAT失敗である。この3点が後に大きく響くことになる。 4Q残り3分からPRIMROSEのラストシリーズが始まった。 PRIMROSEは先のシリーズで酷使したTB小笠原をベンチに下げ、 FB古賀(4年生)のダイブを中心に前進して敵陣20ヤードまで迫りFGのチャンスを得る。 ここで再び先ほどFGを決めた1年生K高橋に期待がかかったが、 ボールは無情にもポールの左へ僅かにそれてターンオーバー。 千葉大にラストチャンスを与えてしまう。 千葉大は自陣の20ヤードから77ヤードを実に11プレーかけてドライブ、 時間を存分に使ってゴール前3ヤードまで前進しFGに繋げる。 最後は相手キッカーに落ち着いてキックを決められ、PRIMROSEの敗北が決定した(21−24)。 辛い敗北をしたと思う。 でもこれが現実だ。今のお前たちは弱い。 しかし、俺たち(OB)はお前たちを信じている。 『必死になって』『歯を食いしばって』『死に物狂いで』・・・そんな使い古された言葉で十分だと思う。 格好なんて良くなくてもいい。 恥ずかしがらずに泥臭く前に進んでくれることを祈っている。
(文:17期 丹野) BACK |