ゲーム解説毎年恒例の千葉大学との定期戦。千葉大学は大量15人の新人を獲得したようで、そのサイドラインは活気に満ち溢れていた。 千葉大学のディフェンスは43‐R(ローバー)。ウィークサイドのOLB(W・OLB)は基本はプロセットしており、オープンケアーだろう。しかし、8メン・ボックス(イーブンな守備)を基準に考えれば、W・OLBはストロングサイド寄りにオーバーシフトしていることになり、F/Sがど真ん中にセットしている以上、W・OLBに課される役割は非常に多く、また、高度になってくる。これに対してストロングサイドにはR(ローバー)がおり、ランサポートしてくることは見えている。この日の千葉大ディフェンスを突破するための鍵となったのが、このウィークサイドへのランプレーであったろう。 そしてオフェンスはオーソドックスなIフォーメーション。前年の印象では明らかにオプションチームであったが、今年は通常時に打つランプレーとは無関係にショート・ミドルゾーンへのパスが多くなっていた。ややウェストコーストか。 前半戦先制したのはPRIMROSE(プリムローズ)。千葉大オフェンスの1stプレーのショートパスをOLB小笠原(4年生・#80・RB兼任・主将)がいきなりのインターセプト。ゴール前3ヤードからの攻撃権を得る。このチャンスに同じくTB小笠原が左オープンをサラりと巻くってTD。やや棚ボタ気味ではあったが先制点を獲得した。しかし、今日のPRIMROSEはここからもオフェンスとディフェンスの絡みが素晴らしく良かった。14点目となるTDシリーズも粘り強いディフェンス陣のファンブルフォースから開始される。そしてTB小笠原、FB谷中(4年生・#19・OLB兼任)のラン。WR高橋(2年生・#81・TB/DB兼任)へのパスなどで小刻みに前進すると、最後はTB小笠原がピッチプレーから右オープンを2ヤードのTDランで締めくくった。更に千葉大の次のシリーズもOLB谷中の鋭いタックルなどで、きっちり3プレーで抑えると、その返しのシリーズではTB高橋の左オフタックル付近からの49ヤードの独走TDランがとび出すなど、早い段階で大量21点のリードを奪うことができた。また、前半終了間際には千葉大学にゴール前1ヤードまで攻められながらも、必死のGL(ゴールライン)守備で無得点に抑えたのも見事であった。 後半戦後半戦はやはり鬼門であるスタミナ面の問題が生じた。この日は気温が30度オーバーだったことを考えれば仕方のない面もあるが、やはり走り込みがまだまだと言ったところであろう。スコア的には千葉大もかなり消耗していたと言うこともあり、7失点(一発ロングパス)に抑えることが出来たので多くのコメントは控えるが、この夏の走り込みは必須事項であろう。 そんな中で目を引いたのは1年生の活躍だ。3Qにはスペシャルチームで随時出場していた広長(#72・LBの予定)が、#87佐々木(4年生)がパントブロックしたフリーボールをリカバーしてリターンTDするというビッグプレーが起こった。上級生の活躍もかなり目立った試合だったが、この日純粋に一番感動したのはこのシーンだったのではないだろうか。また、反則絡みでその全てが記録にはなっていないもののWR佐藤(#58)も2回はパスをキャッチしている。一年生全員に言えることだが、この夏に一皮向ければ充分に秋季シーズンまでには間に合うだろう。どうか休まず怪我なく夏の練習を乗り切って欲しい。大いに期待している。 総括後半戦のスタミナ切れを考えるとまだまだ素直には喜べない。秋に対戦する上位チームに置き換えたならば、今日のような『甘い』試合展開は望めないだろう。どうかこの夏、決して妥協することなくフットボールに打ち込んで欲しい。 テクニカルな面を振り返ると、フロント8(エイト)を中心としたディフェンス陣によるシステムの実行度合いの向上。また、オフェンスに関して言えばFB谷中(4年生・#19・OLB兼任)の一試合を通してのコンスタントなゲインがゲームメークを成功させる上で大きな役割を果たしていたのが印象に残った。 (文:17期 丹野) BACK |