ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 7 0 0 0 7
武蔵大学 0 0 13 0 13

降りしきる大雨の中、今シーズンの初戦を迎えたPRIMROSE(プリムローズ)。相手は昨年の初戦と同じ武蔵大学。昨年、今一歩のところで敗退(14対28)した相手であるだけに、今年こそはとの意気込みは筆者のみならず現役達も同じであったであろう。

武蔵大オフェンスはオーソドックスなIフォーメーション。パスの投げ分けと言うよりかはノース・サウス的な泥臭いフットボールを展開する『ど根性チーム』と言う印象が強い。そして、ディフェンスは43カレッジ。LB陣をタイトに配置し、機動力のある2人のセーフティーをインバートさせるという。大学フットボールでは良く見られる体型だ。


前半戦


先制したのはPRIMROSE。自陣31ヤードから開始された1stシリーズ。QB佐々木(#87・4年生・DB兼任)のキーププレー、FB大澤(#29・4年生・DL兼任)のダイブ、そしてエースRB小笠原(#80・4年生・DB兼任)のオープンなどで小刻みに前進し相手ゴール前1ヤードまで迫り、最後はやはりエース小笠原の左オフタックルプレーでTD。実に70ヤードのロングドライブを成功させ先制点を奪う(キック成功で7対0)。

しかし、2Qに入りこのゲームの行方を左右する2つのミスが起こる。

一つ目は2Q序盤に武蔵大のパントミスから得た敵陣42ヤードからの攻撃シリーズで起こる。PRIMROSEオフェンスはTE福崎(#85・3年生・DB兼任)へのパス、FB谷中(#19・4年生・DB兼任)のダイブで一気に相手ゴール前3ヤードまで前進し、流れはまさに2本目のTD・・・というところであった。しかし、ここでレシーバーが痛恨のフォルス・スタート。更には5ヤード罰退後のパスプレーでQB佐々木が武蔵大LBの鋭いブリッツにボールをファンブル。これを武蔵大がリカバーし、PRIMROSEはこのシリーズを無得点に終える。

そして二つ目のミスは2Q終盤。武蔵大のパントをブロックして得た敵陣43ヤードからの攻撃。PRIMROSEオフェンスは時間をうまく使って敵陣20ヤードまで前進し、残り時間との兼ねあいから3rdダウンではあったがFG(フィールドゴール)を選択。しかし、ここでスナップされたボールをホルダー佐々木がファンブル。時間がそのまま流れ前半が終了してしまう。リードこそしていたが後味の悪い前半戦であった(7対0)。


後半戦


武蔵大の反撃が開始される。ゾーン・ストレッチ、スウィープを中心に武蔵大TB陣がPRIMROSEディフェンス陣の隙間をデイライトし始めた。これに対してPRIMROSEディフェンス陣も必死に食い下がる。コンテインミスがない分、大ヤケド(一発TD)はしていない。しかし、5ヤード、7ヤードと小刻みなランでPRIMROSE陣10ヤードまで前進される。ここで武蔵大が選択したストロングサイドへのスウィープ・プレーに対し、PRIMROSEディフェンスが初めてのコンテインミスを犯してしまう。相手TBに大外10ヤードを一気に持っていかれてTDを献上。リードもつかの間、同点とされる(キック成功で7対7)。

嫌な失点の後のPRIMROSEのオフェンスでまたもやミス。C(センター)のスナップをつかみ切れなかったQB佐々木がボールをファンブルしてPRIMROSE陣19ヤード地点で武蔵大にリカバーされてしまう。ここで武蔵大は再びストロングサイドへのスウィープ・プレー。そして先程のミスを修正する間もなく再びコンテインミスをしてしまう。先程と同じ絵柄で大外を捲くられて逆転のTDを許してしまう(キック失敗で7対13)。

その後、PRIMROSEも必死に反撃を試みるが、1stダウンを重ねることが出来ず、敵陣深くに攻め込めないまま相手にボールコントロールされタイムアップとなった。


総括


大雨の中、お互いにファンブルやパントミスなどのミスは連発した。しかし、スレスレの攻防の中であったとは言え、相手のミスに付け込んだ方(武蔵大)が勝利し、付け込む事が出来なかった方(PRIMROSE)が敗北した。言いかえれば、武蔵大の方が『ボール』を欲していた。雨天の試合では特に言えることだが、アサイメントや戦術なんて関係ないのである。アメリカンフットボールはボールを相手から奪い、ボールを持ったまま相手の本陣を乗っ取れば勝ちなのだ。次節に期待する。

(文:17期 丹野)

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