ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 6 6 0 7 19
東京農業大学 0 7 0 0 7

今シーズンもついに最終節を迎えることとなった。我がPRIMROSE(プリムローズ)は惜しい試合が続きながらも星は2勝2敗の五分と残念ながら今年も優勝争いに加わることが出来なかった。しかしながら'97年(4勝2敗3位)以来の実に6年ぶりの『勝ち越し』がこの最終節にかかっている。最終第5節の相手は東京農業大学。東農大は現在、3勝1敗であり、優勝の可能性が残っている。すなわち、相手は手抜き無しの真っ向勝負を挑んでくるはずである。相手にとって不足はない。この試合に必ずや勝利して、来季につながる勝ち星をものにして欲しい。

東農大オフェンスはマルチプル。部員数50名以上と言う圧倒的な物量を誇る同大学のオフェンスは、オプションにパワープレー、そして何よりも長身レシーバーを配した多彩なパスワークは、掴み所が難しく苦戦を強いられるのは間違いない。そして、ディフェンスは8メンボックス。力強いフロント・エイトはリード、ブリッツとアサイメント的にもバリエーションに富んでおり、PRIMROSEにとっては手強い相手となるだろう。


前半戦


先制したのはPRIMROSE。試合開始早々に東農大オフェンスに28ヤードのスペシャルプレー(リバースフェイクのパス)を決められ、嫌なムードが立ち込めたが、このムードをPRIMROSEディフェンス陣はファンブル・フォースにより断ち切る。そしてその返しのシリーズでPRIMROSEオフェンスがディフェンスの奮起に応える。自陣43ヤード地点でピッチを受けたTB小笠原(#80・4年生・DB兼任)がオープンランのフェイクからWR高橋(#81・2年生)に57ヤードのフリフリッカー・パスをヒット。相手のお株を奪う形で先制に成功する(キック失敗で6対0)。

しかし、東農大も黙っていない。圧倒的なマンパワーとライン力でダイブ、オプション、パスとゴリ・ゴリ・ゴリと13プレーかけて前進し、あっという間に逆転に成功する(6対7)。この東農大のドライブを見る限り、今日のPRIMROSEの失点が7点で済むと思った者は誰もいなかったであろう。

2Qに入りPRIMROSEが加点する。自陣34ヤードから開始された攻撃であったが、TB小笠原のピッチプレーで11ヤード、そしてFB谷中(#19・4年生・DB兼任)へのフラットゾーンのパスで12ヤードと2連続でFDを更新し、あっさり敵陣に入ると、ここからTB小笠原がウィーク・パワープレーで43ヤードを走りきりTD。相手の物量に屈する前に加点できたのは大きかった(キック失敗で12対7)。

この時点では、まだまだ流れは五分五分だった。しかし、物量、そしてライン戦でやや不利な様相を呈していたPRIMROSEにとっては今後起こるであろう東農大の猛反撃は容易に想像できた。こんな時、『1つビッグプレーが欲しい・・・』。そう考えたのは筆者だけであったろうか?

PRIMROSEに長く険しい試練を与え続けたフットボールの神様であったが、2Q中盤、ささやかな光明を授けてくれた。そしてその光を掴んだのはCB佐々木だった。東農大QBの投じたロングパスを値千金のインターセプトに仕留めたのである。その直後、明確にそれを感じた者はいなかったであろうが、間違いなくこの時点から東農大の攻撃の歯車が狂い始めていった。単発のゲインこそあるが、リズムを伴った攻撃が出来なくなっていったのである。


後半戦


佐々木の掴んだ光明。PRIMROSEは後半戦、加点こそ出来なかったが、少しずつ確実にリズムに乗っていった。ディフェンスのインターセプト・ショーが始まる。CB佐々木に始まり、LB飯干(#55・4年生・G兼任)→CB小笠原→SF吉澤(#52・1年生)と計4回のインターセプトを次々に成立させ、ジワりジワりと東農大のマンパワーを焦りへと変化させていったのである。

そして4Q終盤、終にクライマックスは訪れた。東農大の攻撃をパントに抑えて開始された自陣33ヤードからの攻撃。1stプレーはTB小笠原のカウンタープレー。6ヤードの前進。2ndプレーはFB谷中のトラップ・ダイブ。これがラインの好ブロックもあり20ヤードのビッグラン。一気に敵陣に入る。3rdプレーはTB小笠原のウィーク・パワープレー。これがまたまた38ヤードのロングゲイン。ラインの渾身のブロックと、4年生バックス陣の気迫のこもったゲインで相手ゴール前3ヤードに迫る。そして運命の4thプレーはTB小笠原のパワー。この1年間このプレーは何度も打った。下級生のときは中央に突っ込むのを戸惑っていた小笠原も、今では弾丸の如く突っ込めるようになった。そしてこのラストプレーも例外ではなかった。ラインメンのこじ開けたど真ん中のホールに吸い込まれる様に突入し、ノータッチでエンドゾーンに駆け込んだ。トライ・フォー・ポイントのキックも決まり『The Drive』は完結した(19対7)。

試合は結局このドライブが駄目押しとなり、PRIMROSEは'97年以来の実に6年ぶりの勝ち越しを決定した。


総括


『フットボール』をするという原点に立ち返った結果、6年ぶりの勝ち越しに繋がる大金星を上げることが出来た。優勝争いこそ出来なかったが、この勝利は十分に賞賛に値するだろう。フットボール『ど玄人』の筆者から見ても素直に面白いと思える試合内容だった。

4年生は4年間お疲れ様でした。特に最終戦で見せたプライドは今後の君たちの人生(留年生活)にとって必ずやプラスになることでしょう。来年からはOBとしてグランドに来るように。

そして、3年生以下の下級生。来年のことを考えると頭が痛いと思うが、今年の4年生が付けてくれたこの『プライドの火』を消したいか? 消したくなければ己を強くすることと、チームをでかくすること、この2つを少しずつでも良いから実践していこう。そうすればきっともっと強くなれる。

(文:17期 丹野)

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