ゲーム解説

  1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 7 0 7 12 26
成城大学 7 0 0 8 15

いよいよ下位リーグとの入替戦の日を迎えることとなった。PRIMROSE(プリムローズ)の選手及びマネージャー陣は、事前合宿も組んでまさに一丸となってこの試合のために準備をしてきた。また、この試合に臨むにあたってはOB、OGを始め、たくさんの方々からの協力があった。ぜひとも勝利をもってその気持ちに応えたいところである。

成城大学のオフェンスはマルチプル。ウィッシュボーン体型からのオプション、ワンセットバックからのパス等、多種多様なバリエーションでオフェンスを展開してくる。そして、ディフェンスは8メンボックス(44)。コンテインと言うよりかは縦へのプレッシャーを重視したアグレッシブなディフェンスと言えよう。


前半戦


先制点を挙げたのはPRIMROSE。成城大のオフェンスシリーズをパントに抑え込んで迎えたハーフからの攻撃。やや圧されている感はあるものの、相手の反則にも助けられて1回FD(ファーストダウン)を更新し、敵陣37ヤードまで入り込む。ここからストロングサイドにダイブのフェイクを入れたQB吉田(#23・2年生・CB兼任)が、判断良くその一つ外側のレーンをスルスルと駆け上がり、11ヤードをゲインして一発でFDの更新を上乗せする。今となって思い起こせば、このプレーからQB吉田の『好転』が始まったような気がする。その後、TB高橋(#81・3年生・DB兼任)、FB菊野(#25・3年生・LB兼任)とつなぎ再び吉田が見せる。パワーフェイクのパスからTE亀山(#82・1年生・DL兼任)に9ヤードのパスをヒットし敵陣14ヤードまで前進する。更にその後、ブーツレッグからのQBランで相手ゴール前3ヤードまで迫ると、最後はQB吉田からピッチを受けたTB高橋が左サイドを強引にえぐってTD。合計50ヤードを17プレーかけて前進。余裕シャキシャキではないもののQB吉田の好転がもたらしたものは、まさに今シーズンの『ザ・ドライブ』であった(キック成功で7対0)。

しかし、そこはやはり入替戦。成城大も簡単には引き下がらない。その返しのキックオフリターンで、いきなりのビッグプレーを見せる。K高橋のスクウィブキックは相手リターナーのジャックルを生んだ。しかし、それがかえってカウンター効果を生み、PRIMROSEカバーチームに一瞬の隙を作ることになる。79ヤードの特大リターンを喫し、リードもつかの間、試合は振り出しとなる(7対7)。

前半戦はその後、反則やファンブルなどのミスが両チームに出て、得点の変化がないまま終了した。この段階ではQB吉田の活躍という好材料こそあるものの、決してPRIMROSE優勢の状態ではなく、しんどい後半戦が予想された(7対7)。


後半戦


後半戦はPRIMROSEのオフェンスからスタート。自陣28ヤードからの攻撃であったが、このシリーズでは上級生のFB菊野が見せてくれる。TDに至るまでオフェンスがドライブした72ヤードのうち、菊野が5回ボールをキャリーして49ヤードを荒稼ぎする。最後の4ヤードの中央突破も力強く見事なTDランであった。

オフェンスの活躍にディフェンスも応える。3Q終盤、必死の反撃を試みる成城大オフェンスがQBドローやギャンブルとなるトリックプレーを成功させるなどしてPRIMROSE陣内7ヤードまで攻め込んでくる。しかし、エンドゾーンを背にしたこのピンチを救ったのは、この日QBとして大活躍していたCB吉田だった。成城大オフェンスがTDを狙ってエンドゾーンに抛ったパスを見事にインターセプトすると、そのまま31ヤードをリターンしてピンチを一転させるビッグプレーを成功させる。このチャンスに今度はQBとしての吉田がしっかりとオフェンスを牽引。TB高橋、FB菊野そしてQB吉田自らのキープとコンスタントにオフェンスを展開し敵陣7ヤードまで迫る。そして、ここでまたニューヒーローが誕生する。エース格であるTB高橋が消耗のためサイドラインに下がった隙に交代出場したTB小松(#80・1年生・CB兼任)が、僅か1回のボールキャリーのチャンスに右オフタックル付近を突くと、ラインのブロックを上手く利用してスピード良く駆け上がり、何と7ヤードのTDランを演出する。PRIMROSEにとっては貴重な貴重な追加点となった(キック失敗で20対7)。

後半戦、上級生と若手そしてオフェンスとディフェンスが上手く絡み合ったPRIMROSEは、4QにもQB吉田が自らのキープで1TDを追加し、結局、ファイナルスコア26対15で勝利を収め、3部リーグ残留を決定した。


総括


苦しい苦しいシーズンであった。しかし、最後の最後に勝利し、4年生は一つ大仕事をやってのけることが出来た。4年間お疲れ様でした。

しかし、チームとしていつの間にか『残留』を目標にしている姿があった。人数の少ない中で理想と現実に大きなギャップがあるのは痛いほど分かる。しかし、心のどこかに『上』を目指す気持ちがなければ生まれ変わることは出来ない。フットボールとはメンタルとテクニカルそしてフィジカルがまさに表裏一体となって絡み合う究極のスポーツである。来年も苦しいチーム事情には変わりはないと思うが、俺は必ず上に行けると信じている。俺自身も今までフットボールを通じて自分を高めようと努力してきた。お前達にもその努力は出来るはず。簡単には引き下がらない『侍』集団となることを期待して今シーズンを締めくくる。

(文:17期 丹野)

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