ゲーム解説

  1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 0 0 8 3 11
高千穂大学 7 0 0 0 7

駆け抜けたGod Wind! PRIMROSE! 炎のアップセット!

第三戦の相手は高千穂大学。前節まで上位校との対戦だった同校はここまで1勝1敗の成績。攻守共に自由奔放なフットボールを展開してくる。

高千穂大オフェンスはショットガン。しかし、決してパスが多い訳ではなく、QBを中心とした右へ左へのランプレーが中心となっているようだ。

そしてディフェンスは43。コンテインと言うよりも全員追っかけ型の守備であるが、ラインも含め非常に集まりが良く、上位校との対戦にもかかわらず、ここ二戦では大崩れはしていない。


前半戦


開始直後のキックオフリターンで54ヤードのビッグゲインを見せたKR(リターナー)菊野(#25・4年生)であったが、その直後のシリーズでボールをど派手にファンブルしてターンオーバーを喫する。守るPRIMROSE(プリムローズ)ディフェンスも高千穂大オフェンスのトリッキーなプレーに翻弄され、完全にアジャストメントする以前に左スクリーンプレーから相手WRに54ヤードの独走TDランを許してしまう(キック成功で0対7)。更にその返しのリターンでエフォート見せたKR高橋(#81・4年生)が密集の中でボールをファンブルし、PRIMROSE陣内36ヤードでの苦しい守備を強いられる。チームの大黒柱である4年生2人のファンブル。当然、このまま崩れていってもおかしくない状況であった。しかし、この日はここからディフェンス陣の粘り強い守備が始まる。コンテインして全員で集まる。当たり前、かつ、基本的なことではあった。しかし、この時4年生のミスを厳しく叱咤しながらも、その『基本』をチーム全体に吹き込んだのは、他でもなく3年生以下の後輩達だったのかもしれない(0対7のまま前半終了)。


後半戦


後半に入ってもPRIMROSEディフェンス陣は要所を締める。高千穂大オフェンスの攻め手は変わっていない。この間にオフェンスとしては突破口を見出さなければならない。誰が走るのか、誰が取るのか、それとも高千穂大オフェンスが爆発してしまうのか。ギリギリの攻防の中。抜け出したのはPRIMROSEオフェンスだった。3Q中盤。自陣45ヤードからの攻撃。1stプレーはTB高橋(#81・4年生・OLB兼任)のブラスト。ミドル・ラインバッカーの中心線を外肩一つ分外して劈いた、意味のある5ヤードゲイン。近藤前監督曰く『魂のこもった良いランだった』。続いてはTB小松(#80・2年生・OLB兼任)。右オフタックルから今日一番の25ヤードゲイン。高橋以上に躊躇ある走りをしていた前半戦を吹き飛ばすビッグゲインとなった。敵陣23ヤード。ここからキャプテン高橋のランを中心にしぶとく前進し敵陣3ヤードへ。そして最後もTB高橋が左パワープレーから力強くねじ込んでTD。更に、ポイントアフターTDでキックのフェイクからホールダー松原(#4・2年生・控えのQB)が右オープンに流れ込みながらSB高橋(#15・1年生・CB兼任)に逆転の2ポイント・コンバージョンのパスをヒットさせる。控えに甘んじていた松原だったが、今シーズン初めてのパス、何よりもたった1度きりの仕事で見事にコンプリートさせた(8対7)。

4Qに入ってもPRIMROSEは崩れなかった。むしろ、その勢いは増して、中盤にはOLB山田(#49・2年生・WR兼任)のインターセプトも飛び出すなど、オフェンスに2度のFGチャンスを供給した(うち1度成功で11対7)。また、ボールコントロールが要求される場面でのTE中山(#85・2年生・ILB兼任)の堅実なパスキャッチもキラりと光った。

結局、後半戦は最後まで攻め手に欠いた高千穂大オフェンスをPRIMROSEディフェンスがシャットアウトし、ファイナルスコア11対7で20人足らずの情熱が炎のアップセットを成し遂げた。


総括


3試合目にして全員フットボールが成し遂げられた。上級生のファンブルから始まり、持ち直し、逆転する。起承転結のはっきりした、見ごたえのある試合内容だった(ファンブルは要らんが)。こうなったら次の試合にも期待してしまうのは当然の運びであろうが、今日のこのプライドを次に生かす(持続させる)ことは、決して簡単なことではない。お前たちにとっては『次なる挑戦』がたった今から始まったと言える。どうか臆することなく前進し続けて欲しい。

(文:17期 丹野)

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