ゲーム解説

ダークレッドの行進! 難敵千葉大を倒し、勝ち越し決定!

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 7 7 7 0 21
千葉大学 6 0 3 0 9

第4戦の相手は千葉大学。春季の定期戦の相手である同大とは当然今季二度目の対戦であり、春は完全に力負けした経緯がある。千葉大は前節、駒澤大と優勝をかけて戦っており、結果は敗戦に終わったものの、互いに力を認め合った上でのその対戦は、まさに『激戦』というのに相応しい内容であった。

千葉大オフェンスはIフォーメーション。ラインの力強さはリーグ内でもトップクラスであろう。そのライン力を利用してパワープレーの連続攻撃を仕掛けてくる。そして、ディフェンスは43(この日は52も多かった)。機動力が駒澤大なら、重量感は千葉大といっても過言ではないほど、リーグ内屈指の守備と言えるだろう。


前半戦


試合は最初のシリーズから動いた。千葉大オフェンスの攻撃は自陣39ヤードから。TBのドロープレーが30ヤードのロングゲインとなり、一気にPRIMROSE(プリムローズ)陣内へと侵入すると、得意のパワープレーでゴール前9ヤードまで前進し、最後は左ロールアウトからエンドゾーン左隅にアウトパターンのパスをヒットしてTD。PRIMROSEディフェンスは、いともあっさりと先制ドライブを許してしまった(キック失敗で0対6)。

返しのPRIMROSEのオフェンス。相手のパーソナルファール等もありハーフ付近まで前進すると、ここからスウィープのピッチを受けたTB佐藤(#7・2年生・CB兼任)が右に流れながらWR高橋(#15・2年生・OLB兼任)に52ヤードのフリ・フリッカーのパスをヒットさせてTDのお返し。PRIMROSEの二丁拳銃、TB佐藤とWR高橋が華麗な技ですかさず反撃の狼煙を上げた(キック成功で7対6)。

その後しばし膠着するが、2Q序盤にPRIMROSEが魅せる。CB松原(#4・3年生)が千葉大QBの投じたボールをインターセプトに仕留め、千葉大陣33ヤードからの攻撃権を獲得する。ここからTB佐藤、FB山田(#49・3年生・OLB兼任)のランでゴール前3ヤードまで前進すると、最後はTB小松(#80・3年生)が左パワープレーからエンドゾーンに飛び込んでTDを奪い、追加点をゲットする。

最後のパワープレーはラインメンのブロック的には非成立気味だったが、TB小松はスピード良くLOSに到達し、僅かに成立した壁を上手く利用して突進する巧みなランだった(前半終了14対6)。


後半戦


3Q開始の時点で8点のリード。しかし、少人数のPRIMROSEにとって全く予断を許さない状況であることは、前節の成城大戦ではっきりしていた。前節PRIMROSEは後半にケガ人が多く出たことから極度に息切れをして、防戦一方の展開に陥ってしまった。当然、千葉大はそんなPRIMROSEの現状を弱点の一つとして捉えているはずであり、この時点でPRIMROSEに残された『余力』がどのくらいあるのかを想定していたに違いない。PRIMROSEの選手達は今回、コンディショニングには万全の備えをして来たとは言え、前節からたったの二週間・・・。劇的に体力がUPすることは考え辛く、やはり、後半戦になれば体力的な不安は正直拭い去れない状況ではあった。しかし、色んな思いが錯綜し始めた3Q中盤、PRIMROSEの選手達の気持が一つにまとまった。

PRIMROSE陣内深いところ・・8ヤードからの攻撃だった。ハンドオフを受けたTB佐藤が左オフタックル付近に走路を見つけると、そのまま縦にスピードアップして92ヤードの特大独走TDランをあげる。千葉大が想定していた埼玉大の『余力』を遥かに凌いだ一撃は千葉大の息の根を止めて尚、余りある一撃となった。

結局、後半戦は千葉大の攻撃をFGによる3点のみに抑え、PRIMROSEは20対9で勝利し、3勝目を飾った。


総括


TB佐藤の92ヤードのTDランにはたくさんのエッセンスが凝縮されている。

左DEはインチャージ。それをLT山下(#69・4年生)がインサイドに放り込む。それに巻き込まれることなくFB山田が山下の外側からOLBに到達。そしてLG金子(#54・2年生)がC薮本(#72・3年生)とのコンボ・スライドからILBに到達し、全ての人間が最終到達地点まで到達する。一方のTB佐藤はDEのインチャージに一瞬スピードがダウンする。今季ここまで不調だったTB佐藤にとって、このスピードダウンは計算づくのチェンジオブペースではなく、明らかに『躊躇』したことにより生じたものだったに違いない。しかし、その『躊躇』を仲間達がチャンスに変えてくれた。コンマ5秒後、仲間達が作ってくれた一つ外側のホールに走路を見いだすと、後は92ヤード一直線のTDランとなった。コンマ5秒という時間は不調の佐藤にとって、到底作り出せる余裕はなかった。まさに仲間達が作ってくれた時間であったといえる。

全勝の駒澤大が第4節に勝利したので、残念ながらPRIMROSEに優勝の目はなくなった。しかし、勝ち越しは確定した。また、4勝目をあげるチャンスも残っている。4勝と言えば実に1997年以来、9年ぶりのこととなる。高いモラルを持って試合に臨んで欲しい。

(文:17期 丹野)

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