ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 3 7 0 0 10
明治学院 7 7 14 6 34

ぶ厚い二部の壁、PRIMROSE新たなる出発

2部‐3部入替戦。十余年の月日が流れて忘れかけていたこの言葉がついに現実となった。対戦相手は明治学院大学。昨年まで3部リーグの同校は2部リーグ初陣の今年はシーズン1勝と振るわなかった。しかし、随所にタレントが揃っており、3部リーグのPRIMROSE(プリムローズ)にとって強敵であることは間違いない。

明学大オフェンスはマルチプル。とにもかくにも体型はめくるめく変化する。ディフェンスに考える隙を与えないことにより、オフェンスを有利に展開しようとする姿勢は2部リーグの強面達に対抗していくための手段であったことがうかがい知れる。そして、ディフェンスはベース44。しかし、この日はPRIMROSE攻撃陣のランプレーを意識して5メンフロントのオーバーシフトを多用してきた。まさに中ガチガチ状態である。


前半戦


試合はPRIMROSE の攻撃からスタート。いきなりのオーバーシフトにランに手詰まり感を感じるも、WR福田(#31・3年生・DB兼任)へ21ヤードのロングパスがヒットして何とか攻撃にまとまりをつけ、明学大ゴール前5ヤードまで前進する。ここでQB崎本(#18・3年生)が左サイドのキーププレーからTDを奪ったかに思われたが反則発生・・・。結局攻めきることが出来ずにFGによる3点に止まる。

返しの明学大のシリーズは明学大陣内25ヤードから。明学大オフェンスに1stダウンを一度更新されたところでPRIMROSEディフェンスにいきなりの試練が訪れる。明学大WRにジェットスウィープから65ヤードを独走され、あっさりと逆転TDを許してしまう。何よりもスカウティングをしていた、決して初見ではないプレーでTDを奪われたことはPRIMROSEディフェンスにとって相当の痛手であったと言える。

続いても明学大。明学大陣内37ヤードからの攻撃を再びランプレーを中心に8プレー、63ヤードをドライブされ、PRIMROSEはトントンと点を奪われてしまう(キック成功で3対14)。

突き放されそうな流れだったが、エースTB佐藤(#29・4年生)が渾身のランで喰らいつく。相手のオーバーシフトは変わっていない。しかし、佐藤はその包囲網を9ヤード、19ヤードとかいくぐり突進。最後は右ゾーンストレッチから7ヤードを走りきってTD。10対14と肉薄し、ゲームを分からなくする。


後半戦


後半戦は明学大の攻撃からスタートだったが、PRIMROSEディフェンスにようやくビッグプレーが飛び出す。明学大QBが投じたボールをDE松澤(#51・4年生・OL兼任)がバッティングし、空中に舞ったボールをDT池田(#50・2年生・OL兼任)がインターセプトにしとめ、ハーフ付近でオフェンスに攻撃権を供給する。この日一番の見せ場に観客席の応援のボルテージも最高潮に達する。ここで逆転することが出来れば・・・。しかし、自力の差は大きかった。PRIMROSEオフェンスはTB佐藤にボールを集めるも、3回の攻撃で明学大ディフェンスにシャットアウトされてしまう。再び攻撃権は明学大へ・・。

この後から流れが大きく明学大へ傾く。明学大オフェンスの猛攻が開始される。ワンバック体型からのスウィープが一番の軸になっていた。3Q序盤の攻撃は明学大陣内14ヤードと深いところからの攻撃であったが、明学大TBのスウィープであっさりと51ヤード前進され、その後も10ヤード単位のゲインを次々と許しTDを献上。さらにその後4Qまでの間にかけて息をつく暇もなく2TDを上乗せされてしまった。これに対しPRIMROSEオフェンスもTB佐藤のラン、WR福田へのパス攻撃などで必死に反撃を試みるも、単発のゲインに留まり、相手の加点速度を上回るだけの攻撃的つながりを形成することは出来なかった(10対34)。


総括


かくして主将 松澤(#51)を中心とする4年生10人の2部リーグへの挑戦は、『入替戦敗北』という厳しい結果で幕を閉じた。勝負の世界でやっている以上、この結果を『弱いから負けた』と厳しく解釈しなければならないだろう。しかし、一昨年、昨年とリーグ2位だったときとは明らかに違うものがある。2部の壁が見えたこと・・・正直、これだけは入替戦に出場しなければ見えてこない。今年のチームはそれを体感することができた。2部に行くには来季以降どれだけの取り組みをしなければならないのかを明確に感じることが出来た。この感覚を来季に活かせない様であれば、勝負の世界でやっているなんてお世辞にも言えないだろう。3年生以下の奮起に期待する。また、チームをこの域までもって来た4年生10人の功績は本当に大きかったと言えるだろう。お疲れさんでした。

(文:17期 丹野)

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