ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 7 0 7 14 28
東京農工大学 0 14 10 0 24

激戦を征し、全勝キープ!

ついにこの日がやってきた。第3節の相手は東京農工大学。お互いが全勝で迎えた本節。両校以外に全勝のチームはリーグ内に存在しない。言うまでもなく勝った方が優勝へと大きく近づく大一番。激戦必至の様相で試合開始のホイッスルが鳴らされた。

農工大オフェンスはIフォーメーション。オプションあり、パワープレーあり、それにショート、ミドルのパスを絡めてくる。掴み所のない攻撃だ。そして、ディフェンスは43。前節までは多彩なムーブメントで相手オフェンスラインを撹乱させる戦法を取ってきた。


前半戦


PRIMROSE(プリムローズ)の攻撃からスタートした試合であったが、あっさりとパントに追い込まれる。しかし、この後のディフェンスでビッグプレーが飛び出す。CB福田(#31・3年生・WR兼任)が農工大QBの投じた速いタイミングのパスを素早いポジショニングからインターセプトに仕留める。良い契機からの攻撃権の供給にPRIMROSEオフェンスの先制劇が開始される。エースTB佐藤(#29・4年生・DB兼任)のランに続き、WR高橋(#15・4年生・OLB兼任)への28ヤードのロングパスがヒットして一気に農工大陣内に侵入すると、最後はTB佐藤が左オフタックル付近を11ヤード走りきってTD。良い流れで先制点をもぎ取った。さらに次の攻撃時においてもTB佐藤、北島(#23・2年生・DB兼任)のランにWR高橋のパスを絡めて敵陣14ヤードまでリズム良く前進し、PRIMROSEがこのまま一気にこの試合の主導権を握るかに見えた。しかし、ここでTD狙いのTE平山(#88・3年生・DL兼任)へのパスがイージーなキャッチミスから相手SFにインターセプトされてしまう。主導権を握るどころか、得点も入らず、かつ、相手に攻撃権まで渡してしまった。まさに『最悪の事態』に陥ってしまった。

ここから後半3Qにかけて農工大の怒涛の攻撃が開始された。このインターセプト後のシリーズもダイブとパワープレーのたったの2プレーで58ヤード前進され、いきなりPRIMROSE陣内まで侵攻されると、ディフェンスの建て直しが出来ないまま最後はリバースプレーからTDを奪われてしまう。さらに2Q終盤にも、ショート、ミドルのパスを次々と決められゴール前まで前進されると、そこからパワープレーの連続攻撃で押し切られて逆転のTDを奪われてしまう。

相手のパワープレーが完全に軸になっている。インターセプトという1つのミスから見る見る傷口は広がり、農工大オフェンスに攻略の糸口まで与えてしまう結果となってしまった(前半終了7対14)。


後半戦


後半戦も苦しい状況は続いた。攻撃権は農工大オフェンスから。パワープレーがやはり止まらない。更にオプション攻撃も加えてうまい具合にプレーを散らしてきた。後半早々FGによる3点を追加されて点差は10点と広がってしまった。

しかし、前半戦のTE平山のミスこそあったが、この日はオフェンス陣がチームを牽引した。後半最初の攻撃は自陣6ヤードから。TB佐藤のパワープレーがG金子(#54・4年生・LB兼任)の好ブロックもあり、一気に53ヤードのロングゲインとなる。更にTB北島のドローなども絡め前進を続けると、最後は再びTB佐藤が左オープンを走りきって2ヤードのTDラン。点差を3点に縮める。

そろそろ波に乗りたいPRIMROSEディフェンス陣であったが、ここでも農工大オフェンスに上を行かれてしまう。ウィークサイドへのアイソレーションだった。農工大TBは左オフガード付近にホールを見つけるとトップギアに加速した。たったの1プレーで、ノータッチで74ヤードを持って行かれてしまった。再び10点差・・・ジャブではない。とどめのアッパーカットがクリーンヒットし、リングに片ヒザを付いたかに見えた(14対24)。

返しのPRIMROSEの攻撃は自陣15ヤードから。TB佐藤のランには当然のことながら敵の警戒がMAXで敷かれている。そんな中でWR陣が奮起してくれた。WR山田(#25・4年生)→TE平山→WR福田(#31・3年生)と3連続でパスがヒットし一気に42ヤード前進する。これに佐藤のランを絡め敵陣16ヤードまで前進したところでPRIMROSEオフェンスは再びパス攻撃を選択。WR陣もオープンになってはいたと思うが、QB崎本(#18・3年生)は相手DB陣の布陣を見極め、右オープンにスクランブルの走路を見つける。相手の横へのフローを嘲笑うかのように16ヤードを縦に走りきってTDを奪う。どうにかこうにか再び3点差となった。

攻撃権は農工大へ、しかし、ここでようやくPRIMROSEディフェンスが奮起する。前半に一度通されたミドルパスだったと思う。農工大WRの動きをよく読んでCB福田がパスコースに強引に割って入りボールをむしり取った。価千金のインターセプトで即座にオフェンスに攻撃権を供給する。

逆転をかけたこのドライブ、当然のことながら農工大ディフェンス陣も決死の集まりで食らいついてきた。TB佐藤のランも思うようにゲインさせてはくれない。そんな中、敵陣37ヤードまでは辿り着いたものの3rdダウン10ヤードと厳しい状況に追い込まれる。ここでパスを選択したPRIMROSEオフェンスであったがWR陣がフルカバーされていてボールを投げることが出来ない。しかし、ここで再びQB崎本が農工大DL陣の間を縫うスクランブルから13ヤードを前進して、このダウンのコンバートに成功する。ピンチを切り抜けたPRIMROSEオフェンスはこのドライブをTB佐藤の1ヤードのTDランにつなげてようやく試合をひっくり返した。

この後、農工大に2度の攻撃機会を与えたがしぶとく守りきり、ファイナルスコア28対24でPRIMROSEが逆転勝利を飾った。


総括


前半の被インターセプトは試合展開を大きく左右する大打撃だった。そこから後手の展開が4Qの後半まで続いた。入替戦を考えるのはまだ早いが、『上のレベル』を考えると、とてもじゃないがウチは今、上で勝てるレベルには到達していないといえる。そう考えると、次もその次の試合もしっかりとレベルアップすることを意識して戦っていかなければならないだろう。今年のPRIMROSEは弱いんだから常に『謙虚』を忘れてはならない。

(文:17期 丹野)

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