ゲーム解説
若手修行の場、苦難の展開レギュラーシーズンの最終戦。前節でリーグ優勝を決めたPRIMROSE(プリムローズ)にとってこの試合は消化試合である。来る12月13日(土)に行われる2部−3部入替戦に向けてこの試合は若手を中心とした控えメンバーの経験値アップの場となる。 首都大学東京オフェンスはIフォーメーション。若手中心の人員構成を考慮してか基本的なプレーが多いが、その合間を縫って一発狙いのロングパスなどが投じられたりもする創意工夫のあるオフェンスだ。そして、ディフェンスは44。前節の文教大同様にムーブメントも少ない。フィールドに比較的均一に人員を配置するボックス守備で堅実に守ろうという意図が見える。 前半戦PRIMROSE の攻撃からスタートした試合だったがFDを数回取ったところでサクっとパントへ追い込まれる。QB伊藤(#81・2年生)の初陣であったが、あっけなく終わってしまった。そして、その返しのシリーズから首都大の猛攻が開始された。首都大陣40ヤードからの攻撃であったが、ダイブ、アイソレーション、ヒッチ系のパスとプレー数は決して多くはないが、うまいリズムで攻撃を散らしてきた。最後はPRIMROSE 陣内4ヤードまで迫ると、左パワープレーから首都大が先制TDを奪う。更に2Qに入っても首都大の攻撃リズムは変わらない。ウィークサイドのアイソレーションが軸になっていたように思う。じわじわと前進されプラス2TDを上乗せされる。 一方のPRIMROSEオフェンスはQB伊藤のファンブルなどでモタモタした拙攻を繰り返している状態。TB北島(#23・2年生・DB兼任)のランも思うようなゲインを奪うことができない。全く良いところ無く前半戦を終了した(0対21)。 後半戦後半戦も首都大の攻め手に変化はない。淡々とゲインを繰り返している。PRIMROSEディフェンスも一発TDこそ許さなかったが、相手攻撃の心を折る様な攻撃的な守備をするまでには終始至らなかった。これに対しPRIMROSEオフェンスは若干ではあるが喰らい付くことが出来た。TB北島を中心としたバックス陣のランプレーが少しゲインし始めたところで攻撃にリズムが出てきた。3Q中盤にはTB北島、FB大川(#41・3年生・LB兼任)のランでハーフウェイまで前進すると、そこからWR山田(#25・4年生)への54ヤードのロングパスがヒットして一矢報いるTDを奪う。QB伊藤はとりあえず初TDパスを通した。 4Qに入ってもTB北島のランはまずまずのゲインを見せる。攻撃も何度かゴール前に迫ることが出来た。しかし、ここでもQB伊藤が独り相撲。再三に渡りインターセプトを喰らいチャンスを潰してしまう。もう1TDの上乗せはあったものの、反省点の多い試合内容となった(13対42)。 総括伊藤はQBである以上、試合を作り上げることを学んでいかなければならない。現状1プレーの重みを全く分かっていない。一人でだってやれる練習はいくらでもある。単純に努力が足りないと思ってもらいたい。 TB北島も後半戦は足が止まってしまっているのに気付いているか? もっとロングゲイン出来る局面が後半戦は確かにあった。足が止まってしまったのは『オフェンスライン』が悪いからか? それとも『自分』が悪いからか? LB須藤(#8・2年生・TE兼任)は今シーズン何度同じところに打撃を喰らってベンチに戻ってきた? 1年生の時から数多く試合で使ってもらってるのは、既に出来上がった選手だからか? 違うと思うなら本気で体作りに挑戦してみろ。 DL池田(#50・2年生・OL兼任)は高校までの貯金で満足しきっていないか? 今の自分はあの時より数段強く、数倍でかく本当になっているのか? 小木、健一郎、大介、長司朗、金澤、前田、他のチームの下級生はもうあんなに成長してるんだぞ、今のままの自分で本当によいのか? 今やれるMAXを本当にやった上でここまできたのか? まだまだやれる余地はあるんじゃないのか? 1年生と2年生を中心にメンバーを組んだ。当然、消化試合でもあるし、ある程度やられることは想定内だった。しかし、リーグ優勝したチームに相応しい内容だったか・・といえば、やはり『?』だったであろう。フルメンバーで臨んだなら負けなかった・・という言い訳も確かに成立するかもしれない。しかし、それは勝負の世界では本当に言い訳にすぎないのである。勝ったチームが強い。ただそれだけだろう。その言葉をど真ん中に捉えたならば、今のPRIMROSEの取り組みはまだまだ甘いということ。監督コーチ陣、そして上級生は下級生が甘えてしまっている体制を築き上げた。下級生も努力を怠った。単純にそういう構図になるだろう。 上との入替戦を控えた現状、あえて厳しく自分達を評価しなければならないだろう。決してウチは強くなんかないんだから謙虚にフットボールに打ち込む。今シーズンは運良く勝ち残っただけなんだから愚直に努力する。入替戦まで残り時間は少ない。監督コーチ陣、選手、マネージャーも含めた全員の『謙虚』が上のフットボールにどれだけ通用するのか、全力で取り組む。ただそれだけだ。 (文:17期 丹野) BACK |