ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 3 0 7 6 16
上智大学 7 3 7 14 31

完敗。大きな壁を越えられず。

開幕戦の敗北の後、2連勝して徐々にではあるが調子が上向いてきたPRIMROSE(プリムローズ)。ついに全勝中の上智大学との対戦の日がやってきた。

上智大オフェンスはワンセットバック。流行のショットガンを使わず複数レシーバーをフィールドにちりばめるスタイルは往年のラン&シュートを彷彿させる。そして、ディフェンスはオーキー。オフェンス体型に応じてLB・DBをシフトチェンジし、前線重視型、中間守備型を変化させてくる。通常のオーキーにスタッド守備の要素を取り入れたようなパッケージングとなっている。


前半戦


試合は上智大の攻撃からスタートしたが、最初のキックオフリターンが42ヤードのビッグゲインとなり、PRIMROSEディフェンスはいきなり自陣37ヤードと厳しいフィールドポジションを強いられる。ここで上智大はランにパスに10ヤード前後のゲインをポンポンと繰り返し、僅か5プレーという怒涛のスピード感で先制に成功する(キック成功で0対7)。

対するPRIMROSEオフェンスもFB伊藤(#81・3年生・LB兼任)、TB北島(#23・3年生・DB兼任)のランにQB崎本(#18・4年生・主将)のキープ・プレーを絡め、フィールドを大きく使う工夫をしながらの反撃を試みるが、要所でのパス攻撃が失敗に終わり、上智大のディフェンス網をスッキリと突破することが出来ない辛抱の状態が続く。

前半戦はその後、双方がFGによる3点を獲得し、3対10とディフェンシブな内容で終了する。


後半戦


後半戦はPRIMROSEの攻撃からスタート。キックオフリターンが24ヤードとまずまずのゲイン。更に最初のハンドオフを受けたTB北島が24ヤードゲインして一気に敵陣へと入り込む。しかし、ここから相手ディフェンスの粘りにあい、敵陣13ヤード地点で4thダウン1ヤードに追い込まれる。PRIMROSEオフェンスはここでギャンブルを選択するが、上智大ディフェンスの気迫の防御にTB北島のランがストップさせられてしまう。

ギャンブルは失敗に終わったが、この時点でスコアは3対10、まだまだ試合は分からない状態だった。しかし、この返しのシリーズでPRIMROSEディフェンスに試練が訪れる。上智大QBの投じたスラント系のパスがCB中川(#28・2年生・TB兼任)の手に収まりインターセプトが成立したかに見えた。しかし、中川がこのパスを確保しきれずに空中でルーズボールにしてしまう。このボールが上智大WRの手に収まり、そのままエンドゾーンまで駈けぬける65ヤードのTDパスキャッチとなってしまう。後半最初の得点も上智大に持っていかれてしまった(キック成功で3対17)。

しかし、この後ようやくPRIMROSEオフェンスにTDが生まれる。ハーフ付近からの攻撃であったが、WR大谷(#82・1年生・DB兼任)へのパス、QB崎本のキープ・プレーがそれぞれ15ヤードずつの好ゲインとなり敵陣22ヤードまで前進すると、ここからTB北島がカウンタープレーから左ブラインドサイドに走路を見つけて22ヤードのTDランを奪う。10対17と再びTD1本差まで詰め寄る。

スコア的にはこの後ディフェンス陣さえ凌いでくれればまだまだ逆転可能というところまで持って来ることが出来た。しかし、その返しのシリーズにおいても上智大のタフな攻撃は続いた。PRIMROSEオフェンスのお株を奪う様なランプレーが次々と炸裂し、僅か4プレーでTDを奪い返されてしまう。PRIMROSEディフェンスはLB陣が完全にコントロールされていたというわけではく、ロングゲインされているプレー時においても必ずフリーのタックラーは存在していた。しかし、相手RBにスピード良くデイライトされ、突破されてしまったのである(キック成功で10対24)。

その後PRIMROSEオフェンスも必死に喰らいつき1TDを上乗せするが、上智大にも更にダメ押しのTDを奪われて、PRIMROSEは終始上智大の加点速度を上回ることが出来なかった(試合終了16対31)。


総括


まだまだ未熟であることを常に言いきかせ、謙虚な姿勢で鍛錬を繰り返すように選手達には常にハッパをかけてきたが、遂に未熟であることが点差という形ではっきりと表れてしまった。これをもって優勝もなければ、下の入替戦もないという宙ぶらりんの状態になってしまった。すなわち、もう一年待たなければ優勝をかけた戦いはできないと言うことである。昨年12月の二部リーグとの入替戦、明治学院大学にボコボコにされて本当に悔しかったはずなのに、今年も結局その悔しさを強さに変えることが出来なかった。そう考えると、昇格入替戦にも満たないこの上智大戦の敗北は、果たして今後PRIMROSEが強くなるためのバネになり得るのだろうか? 正直、不安は尽きない。しかし、シーズンはあと1試合残っている。この宙ぶらりんな状態を、宙ぶらりんな気持のまま突き進めば、3部リーグにどっぷりと浸かっている今までの埼玉大から脱することが出来ないのではないだろうか? この気持を如何に制御し、鬼となって勝ちを奪いにいけるか・・。誰も評価しない次の試合こそ強い気持で乗り越えられるようでなければ、『脱埼玉大』は不可能な気がする。

(文:17期 丹野)

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