ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 0 7 0 7 14
防衛大学校 0 0 14 7 21

敗北、防衛大の進軍を止められず

秋シーズンもいよいよ大詰め第4節、今日勝てばリーグ優勝という大一番をPRIMROSE(プリムローズ)は防衛大学校という大きな相手との対戦で迎えることとなった。防衛大の攻撃はベースIフォーメーション。しかし、この日はショットガンを多用し、QBランでオープンサイドへ、ロングパスでディープゾーンへと揺さぶりをかける攻撃が目立った。そしてディフェンスは43プロ。上位リーグで長年ならして来た守備には小細工は一切なし。ラインでチャージをかけLB、DB陣で猛烈にボールに突進する。やはりリーグ内では一番強い守備といえるだろう。


前半戦


序盤、防衛大は攻撃の度に1stダウンを一度、二度と重ねていく、スロットバックにTE人材を置きショットガン体型から左右にQBランをぶつけてきた。しかし、PRIMROSE守備陣は要所で締めてなんとかTDを許さない。これに対しPRIMROSE攻撃陣は三回のアタックでパントに追い込まれ1stダウンが取れない状態が続く。この段階でライン戦では防衛大が一歩リード・・と言う感は否めなかった。

しかし、2Qに入りキャプテン北島(#23・4年生・DB兼任)のロングゲインから先制ドライブが開始される。自陣15ヤードと深い所からの攻撃だったが、TB北島はピッチプレーから左オープンに展開、23ヤードを一気にゲインして1stダウンを更新、チーム全体に勢いを与える。ここからWR加藤(#85・3年生・DB兼任)へのショートパスがヒットするなど、プレーをうまく散らして敵陣40ヤードまで前進すると、最後は再びTB北島がパワープレーから中央右付近に走路を見つけ、40ヤードをしぶとく走りきってTD。キャプテンの意地のランで何とか先制点をものにした(キック成功で7対0)。

前半戦はTB北島のランとショートパスを軸にPRIMROSEはもう一度得点機を作ったが、FGが失敗に終わり、結局7対0で終了した。


後半戦


後半戦に入ると、防衛大が攻撃スタイルを変更してきた。前半戦のショットガンをスッパリ止めて本来のIフォーメーションでライン戦を挑んできた。これに対しPRIMROSE守備陣はあっけに取られたというわけでもないだろうが、序盤の単純なオープンープレーで相手TBに67ヤードの独走TDランを許してしまう。あっという間の出来事で、考える暇もなく同点に追いつかれてしまった。

4Qに入っても防衛大の攻勢は続く、疲れの見え始めたPRIMROSE守備陣に対し防衛大攻撃陣が見せたこの日のベストドライブであっただろう。メインはあくまでパワープレー。ロングゲインは許さなかったが、うまい所でプレーアクションパスを決められてPRIMROSE陣内まで前進されると、最後はこの日再三しぶとい走りを見せていた防衛大QBにオプションプレーから34ヤードの逆転TDランを奪われてしまう。ライン戦で取られた一本・・。そして、逆転。正直、精神的には非常に苦しかった。しかし、PRIMROSEの火ははまだ消えていなかった(キック成功で7対14)。

その返しのシリーズは自陣37ヤードから。TB北島のランを中心にWR加藤、中川(#28・3年生・DB兼任)へとボールをつないでまずは敵陣に侵入。ここからTE渡辺(#80・2年生・LB兼任)にこの日一番のプレーアクションパスがヒットして防衛大ゴール前5ヤードまで迫ると、最後はTB北島がパワープレーから左オフタックル付近に体をねじ込んでTD。防衛大のベストドライブに対しPRIMROSE攻撃陣も魂のベストドライブで対抗、キックも決まって同点とし、勝利への望みをつないだ。

この時点で残り時間5分少々、ディフェンスできっちり止めて直ぐさまオフェンスへと繋ぎたいところであったが、ここから防衛大オフェンスにジワジワと前進されてしまう。ライン戦でのパワー差も確かにあったが、何と言っても4Q終盤、両面出場の多いPRIMROSEにとっては体力面での消耗はMAXだったと思う。そんな中PRIMROSE守備陣は何とか食らいついてTDこそ許さなかったが、残り時間1分を切るところまで時間を消費され、25ヤードのFGトライへと繋げられてしまう。14対17で防衛大の勝利・・というところまでPRIMROSEは追い込まれたのだった・・。

結果から言うと、この試合は14対21でPRIMROSEが敗北する。3点差でなく7点差で敗北した。防衛大は25ヤードのFGトライに失敗し、残り時間50秒位でPRIMROSEに一度攻撃権を譲ったのである。しかし、PRIMROSE攻撃陣は3回のアタックで1stダウンを更新できず、残り時間20秒と言うところでやむなく同点狙いのパントを選択する。しかし、ここで防衛大にパントブロックTDを食らってしまうというあっけない幕切れを迎えるのであった。


総括


保護者の皆様や、PRIMROSEを支えて下さっている多くの皆様に応援に駆け付けて頂いたこの試合、選手は今現在の持てる力は出したと思うし、『良い試合』であったことを前置きした上で総括させて頂くこととする。

この負け方、勝てない相手ではなかった・・というような幻想を抱きかねないが、フットボールはオフェンス、ディフェンスだけではない。オフェンスとディフェンスの境目にはキッキングという連結部分が存在し、時にそれが勝敗を左右する。そういう意味ではキッキングゲームこそがチームの総合力を表すバロメーターの様なものなのかもしれない。FGを外し、そこで終わっていても仕方のないチーム(防衛大)が、最後の最後でパントブロックでTDをムシり取った(最初からFGを決めていればすんなり防衛大の勝ちやないかいっ! という意見は置いといて)。悔しいが、今回は総合力で防衛大がPRIMROSEを上回った、そこに力の差は存在したと思わなければならないだろう。もっとやらなあかん。もっと高めないと二部には上がられへん・・と言うことなのだろう。

同点狙いのパントを決行した時点で『PRIMROSE』に勝ちはなかった。この事実を選手、スタッフ、コーチ陣全員が真摯に受け止める必要があるだろう。防衛大に勝たなければ二部昇格はないということは新チーム結成当初から分かっていたはず。この日までに防衛大を圧倒するだけの力(総合力)を身につけることが出来なかったことを選手、スタッフ、コーチ陣全員がしっかり反省し、今後の取り組みに生かしていかなければならないだろう。

(文:17期 丹野)

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