ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 7 0 15 3 25
東京農業大学 7 0 0 7 14

二部昇格できました!

ついについに決戦の日がやって来た。入替戦の対戦相手は東京農業大学。同大オフェンスのベースはIフォーメーション。脚力のあるTBへのオーソドックスなランプレーが特徴だが、ワンバック、ショットガン体型からのQBランとパスワークを適度に融合させてプレーの幅を広げている。そして、ディフェンスはベース4‐3。前後バランスの良い守備が特徴だが、この日はPRIMROSEオフェンスのランプレーに対する警戒はMAX。5‐3や4‐4も随所に使用し、ラン守備ファーストの布陣がメインとなっていた。


前半戦


先制したのは東農大。キックオフ直後の東農大オフェンスの攻撃は東農大陣内25ヤードから。WRへのルックイン系のパスとショットガンからのオプションピッチでPRIMROSE(プリムローズ)陣内まで侵入。互いの反則により少し膠着したが、先ずは二部リーグの東農大が本領を発揮する。警戒していた東農大TBにブラストプレーからPRIMROSE守備BOXの真ん中をぶち破られて49ヤードの独走TDランを喫する。

東農大オフェンスラインによる中央付近のキーブロックは決まっていたが、PRIMROSEディフェンスにもタックルミスが散見された。簡単でないのは勿論分かっているが、序盤、PRIMROSEディフェンスがアジャストする前に、二部で鍛え抜かれた東農大RB陣に持ち前のスピードを発揮されてしまった格好だ(キック成功で0対7)。

しかし、PRIMROSEオフェンスも負けてはいない。返しのシリーズは自陣35ヤードから。1stプレーのTB西村(#21・4年生)のパワープレーがゴリゴリで8ヤードのゲイン。これまでリーグ戦でも何度も打った先方も承知のプレー。当然の事ながら形成されたホールの窮屈感は否めないが、PRIMROSEオフェンスラインによるブロック自体は成立していた。入りの感触としては悪くない。その後もパワープレーにスウィープとTB西村(#21)と鍋嶋(#25・4年生)に次々とボールを持たせて東農大ゴール前6ヤードまで前進すると、最後もTB西村(#21)が右スウィープからエンドゾーンに突進してTD。種も仕掛けも無い。ここまで使ってきたプレーをオンパレードしてキッチリと同点に追いついた(キック成功で7対7)。

第2Qは我慢の展開。中盤から終盤にかけて東農大オフェンスに17プレー、89ヤードのロングドライブを喫し、長時間ボールをキープされてしまう。最終的にPRIMROSE陣内1ヤードまで攻め込まれて逆転の危機に瀕したが、前半終了間際、PRIMROSEディフェンス陣の気迫のタックルにより東農大QBをインバウンズでボールデッドに仕留めると、そのままタイムアップを誘い、ここを無得点で切り抜ける。

しかし、まだまだスコアは7対7。全く予断を許さない状況で前半戦を終了した。


後半戦


後半戦最初の攻撃はPRIMROSEオフェンスから。開始のTB西村(#21)のランが11ヤードのゲイン。続けてWR原(#12・4年生・DB兼任)に12ヤードのプレーアクションパスがヒットし、順調にゲインを重ねたが、敵陣に入ったところで投じたプレーアクションパスが東農大CBにインターセプトされて攻撃を遮断されてしまう。

まあ、安易と言えば安易。相手が二部と言えば二部。とにかく普段通りが中々出来ない。後半戦も難しくなるのか…と言う様相を呈したが、ここからPRIMROSEディフェンスが奮起する。

インターセプト直後の東農大のオフェンスシリーズは、東農大陣内12ヤードと深い所からスタート。1stダウンはウィークサイドへのブラスト。1Qに似たようなデザインのプレーで独走されTDを許したが、今回は集まり良く2ヤードのゲインでストップする。2ndダウンはストロングサイドへのパワー。ここはNG金田(#74・4年生・OL兼任)が鋭いチャージから東農大TBに襲い掛かり1ヤードのロスに仕留める。そして、3rdダウンはショットガン体型からのRBのドロー。このプレーも前半戦にロングゲインを喫していたが、今回はDT高木(#65・3年生・OL兼任)が華麗なスイムから対面のラインマンをイナすと、そのまま一気に相手TBへと追いついて5ヤードのロスタックルを決め、東農大オフェンスをエンドゾーンの中、狭いスペースでのパントへと追い込むことに成功する。そして、このパント時に東農大にエクスチェンジ(ロングスナップ)のミスが起こり、PRIMROSEディフェンスはセーフティーによる2点をゲットする。後半戦、ディフェンス陣の奮闘からリードの展開が開始された(9対7)。

そして、セーフティー直後のPRIMROSEオフェンスにビッグプレーが生まれる。TB西村(#21)がスウィープから左オープンを独走する45ヤードのTDランで直ぐさま追加点を奪う(キック失敗で15対7)。

流れを掴んだPRIMROSEは、この返しの東農大オフェンスシリーズも3&アウトに抑え込み、即座に攻撃権をゲットする。PRIMROSEオフェンスはこのシリーズで9プレー、80ヤードのTDドライブを敢行。ディフェンスとオフェンスがガッチリかみ合い東農大を一気に突き放した(キック成功で22対7)。

第4Qは時間消費モード。TB西村(#21)のランに加え、FB大澤(#2・2年生・LB兼任)と鍋嶋(#25)のダイブがボディブローの様にコツコツと前進を重ねる。途中FGによる3点を加点し、ボールコントロールと着実な得点で東農大の焦りを増殖させた。

結局試合は第4Q終盤に東農大オフェンスに意地のTDパスを決められて11点差とされるも、PRIMROSEオフェンスがその後もボールコントロールを継続して時間を消費。ファイナルスコア25対14。実に1996年シーズン以来20年ぶりとなる二部昇格を達成した。


総括


何とか二部昇格が叶いました。20年…。本当に長い道のりでしたが、何よりも先人たちがやって来たことが間違いではなかったと言う事を結果で証明できた事をとても嬉しく思います。卒業生の皆さんが後輩達にしてくれた指導。卒業生の皆さんが過去に味わった敗北。その一つ一つが現役生達の血肉となり、この日の勝利につながったと思います。この勝利。学生だけではなくPRIMROSE関係者の皆さま一人一人に誇りに感じて頂ければと思っております。

そして、コーチ陣もよく頑張ってくれました。オフェンスはラインを桑原コーチが、バックスを比浦コーチ、QBを吉田コーチがそれぞれ担当し、ボールコントロールを念頭に置いたブロックや走法を確立すると共に、ショート・ミドルパスの成功率を高め、相手に簡単にボールを渡さない攻撃スタイルを完成させてくれました。

ディフェンスは森阪コーチの指導の下、目先を変化させて対処する様な一貫性の無いディフェンスではなく、前後のバランスの取れたオーソドックスなディフェンスで1シーズンを戦い貫いてくれました。時には失点が先行して我慢の展開もありましたが、それも含めて来季へつながる良い経験となったと思います。また、伊藤コーチ、永山コーチは森阪コーチと常に連携し、バックアップの役目を果たしてくれました。

そしてそして、4年生は最後のシーズンお疲れ様でした。優勝して昇格したんだから素晴らしい取り組みであった事は言うまでもないでしょう。この経験を今後の人生に役立てて下さい。そして、残された後輩達への指導もよろしく頼みます。オジさんは嬉しい!

(文:17期 丹野)

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