ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 0 7 7 7 21
亜細亜大学 0 0 0 14 14

亜細亜大の猛追を凌ぎ、逃げ切り

第4節の対戦相手は亜細亜大学。同大オフェンスのベースはIフォーメーション。パワープレーが中心だが、そのフェイクからのアクションパスにQBのブーツレッグ(QBがランプレーのフェイクをした後にボックスの外に飛び出して、スクランブルを仕掛けながらパスでのゲインもうかがう選択プレー)を絡めてプレーの幅を広めている。

そして、ディフェンスは5‐3。ディフェンスラインのチャージとミドルラインバッカーを中心としたLB陣の集まりで守るランストップ重視型の布陣だ。


前半戦


1Qから2Q序盤にかけてはパントの蹴り合い。しかし、PRIMROSE(プリムローズ)にパントのキックミスが出るなど、自ら陣地を悪くする様なミスも目立ち、探り合いの様相を呈する。

そんな中、2Q中盤にようやく試合が動く。PRIMROSE陣内24ヤードからのPRIMROSEオフェンスの攻撃であったが、先ずはHBの金澤(#3・4年生)のオープンプレーが4ヤードのゲイン。続くTB石井(#20・2年生)の中央ランプレーも7ヤードゲインして1stダウン(FD)を更新すると、ここからFB金澤(#3)が11ヤード→HB石井(#20)が9ヤード→FB韮塚(#34・2年生・LB兼任)が7ヤードと、コンスタントにゲインを重ね、FDを2つ上乗せした所で敵陣38ヤードまで前進。そして、ディフェンスが前のめりになったところでパス一閃。QB佐伯(#29・2年生)からWR鈴木(#16・4年生・DB兼任)に38ヤードのプレーアクションパスがヒットしてTD。ようやくのようやくで先制する(キック成功で7対0)。

前半戦はこの後、双方のオフェンスが決め手に欠き、7対0のまま終了する。


後半戦


後半戦はPRIMROSEのオフェンスからスタート。PRIMROSE陣内28ヤードからの攻撃であったが、TB金澤(#3)の中央ランが5ヤードのゲイン。続くFB高森(#7・1年生)のパワープレーが7ヤードゲインして後半戦最初のFDを獲得。ここからTE柴田(#80・4年生・キャプテン)に9ヤード、そして、WR高橋(#10・2年生・DB兼任)に24ヤードと続け様にプレーアクションパスがヒットして亜細亜大ゴール前まで前進すると、最後はTB金澤(#3)が右オフタックル付近から6ヤードを走り切ってTD。9プレー、72ヤードのドライブを成功させ、後半戦は幸先良いスタートとなった(キック成功で14対0)。

しかし、3Q終盤にパントのロングスナップでエクスチェンジのミスが起こり、自陣での守備を強いられた所から歯車が狂い始める。

PRIMROSE陣内37ヤードからの亜細亜大オフェンスの攻撃であったが、アンバランス体型からのダイブとスクリーンパスで奇襲を仕掛ける亜細亜大オフェンスに対し、PRIMROSEディフェンスは効果的なクサビを打てないまま、小刻みにゲインを許す展開へと持ち込まれてしまう。結局、最後もスクリーンパスから14ヤードのゲインを許してTDを献上。7対14と1TD差まで追い上げられる。

返しのPRIMROSEオフェンスはPRIMROSE陣内25ヤードから。RB金澤(#3)、石井(#20)、高森(#7)のランを中心に前進を重ね、最後はTB金澤の3ヤードのパワープレーでTDを奪う。15プレー、75ヤードの粘りのドライブを完結させ、4Q中盤。再び2 TD差に引き離すことに成功する。

しかし、ここからディフェンス陣がピリッとしない。体力的にも辛いのが第4Qではあるが、敗戦を喫した前節同様に足が止まり、タックルミスが目立ち始める。亜細亜大陣内25ヤードからの亜細亜大オフェンスの攻撃であったが、キャッチアップのパスを狙う亜細亜大QBに対し、DT田村(#71・3年生・OL兼任)が素早いラッシュからプレッシャーをかけてクサビの役割を果たすも、後続のタックラーが続かない。スルリとかわされスクランブルでのゲインを許すと、続く単純なスイーププレーでもDB陣にタックルミスが出て21ヤードのロングゲインを喫し、ハーフ付近まで前進される。ここから亜細亜大QBにブーツレッグからのスクランブルを続けざまに決められ、PRIMROSE陣内深くまで押し込まれると、最後もスクランブルでカップの外に飛び出した亜細亜大QBからセーフティバルブ(本来のパスターゲットではなく、プレーが崩れた後に補助的に発生したターゲット)のRBにパスを通され、そのまま17ヤードをランアフターキャッチされてTD。正に前節の流経大戦の終盤を彷彿とさせる拙守で、4Q終盤、再び1TD差に追い上げられる(キック成功21対14)。

そして、返しのキックオフでPRIMROSEオフェンスにボールが回れば問題無しであったが、ここで亜細亜大のキックカバーチームにオンサイドキックをものの見事に決められて、攻撃権は再び亜細亜大へと移り、悪夢は継続する。浮足立ったPRIMROSEディフェンスは、亜細亜大オフェンスに再びアンバランス体型からジワジワと前進され、結局、残り時間数十秒というところで、ゴール前1ヤードでの攻防にまで追い込まれる。このゴール前守備でPRIMROSEディフェンスは、亜細亜大オフェンスの4回のランプレーを、ようやく守り切り、やっとのやっとで攻守が交替する。今季2勝目は正に薄氷を踏む勝利となった(試合終了21対14)。


総括


前節に続き、反省点の多い試合内容であった。次節、筑波大に勝利をすれば点差次第では優勝の目は残るが、そんな得点勘定よりも先ずはしっかりと己を顧みて、チームを結束させることが先決だろう。前節と同じようなミスがこの試合でも繰り返されている。謙虚な気持ちで弱点を克服し、可能性が少しでも高まるような取り組みをして欲しい。挑戦者になり切れるかどうか、チームとしての資質が問われている。覚悟を持ってフットボールに取り組んで欲しい。

(文:17期 丹野)

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