ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
埼玉大学 7 21 0 0 28
筑波大学 0 7 0 7 14

最終戦勝利、勝ち越し決める

第2節の対戦相手は東京農工大学(先の台風の影響により、第2節は12月1日に延期となっていた)。同大オフェンスのベースはショットガンフォーメーション。モビリティの高いQBが放るタイミングパスとロールアウトからのラン&ロングパスが特徴だ。

そして、ディフェンスは4‐3。DL、LBのアライメントを目まぐるしく変化させ、オフェンスにブロッキングの的を絞らせない複雑な守備だ。


前半戦


1Qは農工大の攻撃からスタート。ファーストプレーのロールアウトパスをPRIMROSE(プリムローズ)ディフェンスのSF阿久津(#9・4年生・WR兼任)がパスカットし、幸先良いスタートを切ったかに見えたが、これがパスインターフェアの反則。のっけから15ヤードの罰退と大目玉を食らう。しかし、この後を何とか締めてパントへと追い込み、返しのPRIMROSEオフェンスは自陣15ヤードから。1stプレーのFB津布久(#47・3年生・LB兼任)のダイブがヒットをかましながら8ヤードのゲイン。続くQB佐伯(#29・2年生)のキーププレーも8ヤードゲインしてファーストダウン(FD)を更新する。ここからTB金澤(#3・4年生)が右パワープレーから44ヤード激走し一気に農工大ゴール前まで前進すると、最後もTB金澤(#3)がスイーププレーから左オープンに飛び込んでTD。タイトな試合展開が予想される中、欲しかった先制点をゲットする(キック成功で7対0)。

続いてもPRIMROSE。返しの農工大オフェンスを3rdダウン9ヤードへと追い込み、選択されたドロープレーに対し、LB津布久(#47)とLB伊豫(#27・3年生)が挟み撃ちでタックルに仕留めると、農工大RBがたまらずボールをファンブル。このボールをSF阿久津(#9)がリカバーしてターンオーバーとすると、2Q序盤にもCB鈴木(#16・4年生・WR兼任)にインターセプトが生まれて連続のターンオーバーでオフェンスへと攻撃権を供給する。そして、この後の攻撃をTB石井(#20・2年生)のゾーンストレッチからの3ヤードのTDランにつなげて追加点を奪う(キック失敗で13対0)。

前半戦はその後、農工大オフェンスに1TDを奪われるも、PRIMROSEオフェンスも2TDを上乗せし、28対7とまずまずのリードで折り返す。


後半戦


3Qは序盤からもつれる。PRIMROSEオフェンスの最初の攻撃は農工大のオンサイドキックの失敗もありハーフ付近から。TB石井(#20)のパワープレーが11ヤード、同じくTB金澤(#3)のオープンプレーが7ヤードとリズム良くゲインしたが、続くオープンプレーでQB佐伯(#29)からHB金澤(#3)へのピッチのリレーションが合わずにボールをファンブルしてターンオーバー。その後、ディフェンスが何とか凌いで再びPRIMROSEオフェンスへとボールをつなぐが、今度はQB佐伯(#29)がインターセプトを喰らい連続のターンオーバーでイライラが募る展開。しっかりと訓練を重ねていれば起らないようなミスを重ね、いたずらに攻撃権を失っていく。そして、体力的に足が止まって来たところでオフェンスラインにもホールディングなどの反則も目立ち始める。正に今シーズンを通じて課題となっていたミスや反則がこの試合でも出始めてしまった。

4Qに入り、もたつくPRIMROSEオフェンスをフォローしきれず、ついにディフェンスが失点を許してしまう。農工大陣内20ヤードからの農工大オフェンスの攻撃であったが、ミドルパスにQBのスクランブルで16ヤード→6ヤードと連続でゲインを許すと、波に乗った農工大QBに、ここから32ヤードのコーナーパターンのパスを見事に決められて一気にPRIMROSE陣内へと進軍される。そして、最後も24ヤードのフェードパターンのパスを右コーナーに気持ちよく決められてTDを献上。悪い流れからついに後半戦の均衡を破られてしまう。

そして、さらに悪夢は続く。返しのキックオフで農工大キックカバーチームに、ものの見事にオンサイドキックを決められて、攻撃権は連続で農工大へとシフトする。このオンサイドキックも一見は農工大が見事という事になるかもしれないが、ボールが飛んでくる過程でキャッチ出来る状況にない高い位置にあるボールに対してオフェンスラインがいたずらに手先のみでボールにタッチして軌道変更、タイミングをズラしてしまう様な行動を取っており、きっちりと練習を積んで、現場(試合場)でチームがコミュニケーションを取れる状態にさえなっていれば、普通にキャッチ出来ていたのではないかと思えるようなプレーではあった。

ようするに今シーズンのお決まりの展開か…。と、嫌な思いが走馬灯のように脳裏をよぎったが、キャッチアップを狙う農工大オフェンスのパス攻撃を最終的にはPRIMROSEディフェンスのCB鈴木(#16)がインターセプトに仕留め事なきを得る。その後は何とか時間を消費して逃げ切り勝ち。ファイナルスコア28対14。最終戦でシーズン勝ち越しを決める事が出来た。


総括


何とか逃げ切って勝利することが出来たが、後半戦は今シーズンを象徴するかのようなミスや反則が絶えなかった。今季、勝ち越すことは出来たが、優勝からは程遠い状態にあったのは、やはり体力面やパワーの面の積み上げ不足から来る総合力の無さに起因していたと思う。

目に見えて分かる反省材料がある。勝てない悔しさも味わったはずだ。であれば、これを力に変えられない理由ははっきり言って見当たらない。来季、残された後輩たちは一人一人が自覚して行動に移さなければならない。そして、チームが変わらなければならない。

4年生はしんどいシーズンではあったが、最終戦は勝つための行動に徹してくれた。そして、何とか勝ち越すことが出来た。4年間お疲れ様でした。立派な社会人になって下さい。

(文:17期 丹野)

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