ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
PRIMROSE 0 10 7 0 17
電気通信大学 0 0 0 13 13

二部昇格! 皆さん ありがとう!

(令和4年)12月25日のクリスマス。いよいよ入替戦の日がやってきた。年も暮れかけ、日も暮れかけ、極寒の16:45。試合開始のホイッスルが鳴らされた。

入替戦の対戦相手は電気通信大学。同大オフェンスのベースはショットガン・フォーメーション。パス体型ではあるが、要(かなめ)はQBの左右へのオープンランとブーツレックという感じか。そして、ディフェンスはベース3‐4‐R。守備BOX内でR(ローバー)がフレキシブルなポジショニングを取り、攻撃側の仕掛けるランプレーに応じてBOX内を縦横無尽に駆け回ってタックルをする。ベース7人の守備BOXにRのランプレーに対するマンツーマンを融合させた『BOX&マン』的守備と言えるだろう。


前半戦


1Q。序盤は一進一退。エクスチェンジ系のミスでターンオーバーがお互いに発生するなど、そこはやはり入替戦。独特の緊張感からか、我がPRIMROSE(プリムローズ)に関しては若い未熟なチームだからか、なかなか通常通りのオペレーションが出来ない時間帯が続く(というか、結局我がチームは最後までそうだったんだが…)。

そんな中で2Qに入り、最初にチャンスをものにしたのはPRIMROSEだった。お互いにミスが目立った序盤戦であったが、チャンスはやはりそのミスからの流れで発生した。電通大オフェンスのショットガン体型からのオプションピッチであったが、PRIMROSEディフェンスのOLB吉村(#10・1年生・WR兼任)が、鋭いプレーリードと縦上がりから電通大QBとRBの連携の間に絶妙なポジショニングを取ると、QBからピッチされたボールをチップしてはじき返す(猫パンチ的に叩いた)ビッグプレー。電通大オフェンスの母集団後方に転々とバウンドしたボールをOLB吉村(#10)が縦上がりの勢いを殺さずにリカバーすると、そのまま48ヤードを独走し、電通大陣内16ヤードと絶好の位置でPRIMROSEオフェンスに攻撃権を供給する。お互いにミスが目立った序盤戦のモメンタムは、このどデカい1プレーで完全にPRIMROSE側へと手繰り寄せられた。

このチャンスにPRIMROSEオフェンスはQB樋口(#24・2年生)のキーププレーで4ヤード⇒6ヤードと立て続けにゲインを重ね電通大ゴール前まで前進すると、最後はTB石嶺(#31・4年生・DB兼任)が右パワープレーから1ヤードを何とかねじ込んでTD。膠着状態から一歩前進。欲しかった先制点をゲットする(キック成功で7対0)。

これで落ち着いた…フェイク落ち着かない。PRIMROSEオフェンスは2Q中盤にもハーフウェイからの攻撃権を敵陣22ヤードまで運んでチャンスを迎えたが、QB樋口(#24)がファンブルロストするなどバタバタは継続し、チャンスがなかなか得点へと結びついていかない。しかし、PRIMROSEディフェンスが、序盤よりもパス比率を増やし、より積極的に空中戦を仕掛けてくる電通大オフェンスに対し、粘り強く要所を抑えて無失点の時間帯を何とかキープする。そんな我慢の展開の中で、2Q終盤に再びPRIMROSEオフェンスにチャンスが到来する。ハーフからの攻撃であったが、FB高森(#7・4年生・DB兼任)のダイブで6ヤード。TB石嶺(#31)のパワープレーで7ヤード。QB樋口(#24)のキーププレーで6ヤード⇒10ヤードと立て続けにボールを前進させ敵陣21ヤードへと到達。そして、このチャンスをK内藤(#22・2年生)の37ヤードのFGにつなげて3点の上乗せに成功。前半戦の終了間際(残り時間1秒)。ここまでの試合の流れを考えると決して侮れない。なかなかに貴重な3点をゲットする(前半終了10対0)。


後半戦


ミスが多いなりに何とか10対0とゲームを作った前半戦であったが、後半戦は序盤、お互いにパントを1回ずつ蹴り合うまたまた引き締まった展開。そんな中、3Q中盤にPRIMROSEが再びディフェンス陣の活躍からチャンスを掴む。電通大陣内35ヤードから一発を狙いロングパスを投じた電通大オフェンスであったが、PRIMROSEディフェンスのSF大倉(圭・#12・1年生)が的確なゾーン取りから向かって来るボールをゾーンの範囲内に収めると、電通大WRが捕球際でSF大倉(#12)と競り合いとなりボールをジャックル。そして、空中に留まっていたボールをフォローに入っていたCB高森(#7)がキャッチしてインターセプトに仕留め、そのままCB高森(#7)が27ヤードをリターンして、敵陣36ヤードと好ポジションからの攻撃権をPRIMROSEオフェンスに供給する。このインターセプトが生まれるまで、OLB吉村(#10)のファンブルフォースなど瞬間的なディフェンス陣の輝きはもちろんあったが、大きい役割を果たしたのはILB須賀(#75・4年生・キャプテン)とOLB井上(#74・4年生・副キャプテン)を中心とした守備陣の献身的なランストップであったことに他ならない。特にキャプテン須賀(#75)は電通大オフェンスのランプレーに対し、早いランストップももちろん決めたが、ゲインをされた時でもあきらめずに左右ライン際まで走り込んでタックルを決め、時にはクサビとなりランナーをスローダウンさせた。そして、電通大が得意とするQBランを効果的に機能させなかった結果、パス基調となった電通大オフェンスから貴重なインターセプトを奪うことが出来た。

このチャンスにPRIMROSEオフェンスは先ずはTB石嶺(#31)の右パワープレーで9ヤード。続けてTB高森(#7)が同じく右パワープレーから5ヤードをゲインすると、再びTB石嶺(#31)が右パワープレーから今日一の16ヤードのゲイン。今年のランプレーを支えてきた4年生RBコンビが渾身のランを見せ、一気に電通大ゴール前まで前進を図ると、最後はQB樋口(#24)が電通大ディフェンスの中央付近を一閃。オプションキープから中央左に5ヤードのTDランで遂に後半戦の均衡が破られる。この日、電通大のR(ローバー)と幾度となくマッチアップをしてきたOL須賀(#75)が、この時も強烈なブロックを電通大Rに浴びせ、その横をQB樋口(#24)が走り抜けた。(キック成功で17対0)。

何とかかんとか3Qまでは試合を作り、3ポゼッション差(最低3回の攻撃機会が無いと逆転できない点差)とした。しかし、4Qに入り、最後まで解消できなかった今季の反省点、体力面の減退が極度に進み始める。ランニングバックの縦への推進力。ディフェンスラインのパスラッシュやDB陣の球際でのあと一歩の粘り、疲労困ぱいとなった状況下で全てが甘くなり始める。その結果、電通大オフェンスに猛反撃を許し、残り時間の消費を図りながらも2本の縦パスを通され、計13失点を喫した。3ポゼッション差という3Qまでの貯金が効いて何とか逃げ切ったが、残されたメンバーにとっては来季への課題が突き付けられた形での終わり方であったと言えるだろう(生きた心地がしないまま試合終了。17対13)。


総括


選手・マネージャー諸君は一年間よく頑張ってくれた。春先の部員の勧誘。夏場の厳しい練習。そして、多くの選手が攻守両面で出場した秋のリーグ戦。辛かったとは思うが、誇りに思ってよいことを成し遂げたのだから4年生には胸を張って卒業していって欲しいし、残された者は更なる精進を誓い、レベルアップをして欲しいと思う。

今の時代は学生たちがよく頑張ってくれた…以外の言葉はいらないのかもしれないが…。年初の新チーム結成時(新入生の入学前)は選手の人数が11人となり、秋シーズンに試合が出来るのだろうかという所までチームは落ち込んだ。通常の時期なら1年生を勧誘すれば良いということになるのかもしれないが、コロナ禍において、大学側の許しが無い中で部員の勧誘をすることは決して簡単な事ではなかった。そんな中、顧問の後藤先生が学校側と掛け合い、最低限の勧誘活動が出来る様に働きかけをしてくれた。そして、今年の3月に卒業したばかりの卒業生(去年の4年生)が、4月の土日には毎週の様にグランドまで駆け付け、新入生の勧誘活動を手伝ってくれた。努力が実り、5月には17名の部員と2名のマネージャーが入部してくれた。シーズン前の9月には若手OB・OGが何十人とグランドに駆け付け、他校との練習試合はおろか、合同練習すらできなかった現役選手たちとスクリメージを組んでくれた。また、コーチ陣も年初から暮れの暮れまで選手達に付き添い、指導をしてくれた。

選手・マネージャーのみならず、色々な方の努力は確かにあった。でも、だからと言って誰が今年に二部に昇格できると考えていただろうか。もちろん。二部に上がった事がゴールではないし、来年はウチが三部リーグに落っこちる筆頭格だし、大げさに物事を書きたくはないんだが、言いたいのはチームというものが存在していたということ。チームファーストができていたからこそ大きい力が発揮されたということだ。

色々な方に感謝の一年間であった。皆さん。ありがとう。

(文:17期 丹野)

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