ゲーム解説
拓殖大の攻撃を止められず、二連敗第二節の対戦相手は拓殖大学。同大オフェンスのベースはショットガン・フォーメーション。大型のラインマンを擁し、安定の中央ランとフィールド左右へのRPO(ランパスオプション)。そして、時折見せるQBのキーパーが良いアクセントになっている。正にタレントは揃っている…という感じだ。そして、ディフェンスは8メンBOX(4‐4)。オフェンス同様、大型のラインマンが前線を支配し、機動力のあるセカンダリー陣がその後ろを均等にサーチする。偏りのないバランスの良い守備と言えるだろう。 前半戦先制したのはPRIMROSE(プリムローズ)。開始のキックオフリターンでKR(キックリターナー)竹澤(#25・2年生)がバウンドするキックボールの確保に若干もたつくも、捕球後は持ち前のスピードで41ヤードの好リターンを見せ、早々にハーフ付近からの攻撃権を得る。そして、1stプレーのパワープレーと、2ndプレーのダイブでまずまず前進するも、3rdダウンは1ヤード残し。しかし、ここからQB樋口(#24・3年生・副キャプテン)が右オプションキープから10ヤードをゲインして何とかFD(ファーストダウン)を獲得。敵陣36ヤードへと前進する。続いてTB豊野(#4・2年生)のパワープレーを中心にコツコツとゲインを重ね、敵陣15ヤードまで到達。ここからQB樋口(#24)のオプションキープが11ヤードゲインして一気に敵陣ゴール前4ヤードまで迫ると、最後もQB樋口(#24)が左オープンのキーププレーからエンドゾーンに飛び込んでTD。11プレー、51ヤードの先制ドライブを成功させる(キック成功で7対0)。 第1QはPRIMROSEディフェンスが拓殖大オフェンスを効果的にストップすることが出来ていたとは言い難い展開ではあったが、拓殖大のFGの失敗にも助けられ、7対0とリードをキープ。しかし、2Q中盤に拓殖大オフェンスが本領を発揮する。拓殖大陣内30ヤードからの攻撃であったが、PRIMROSEディフェンスは拓殖大WRにフックパターンのパスからランアフターキャッチを含めて20ヤードの前進を許すと、続けて左右にRPOをビタビタとヒットされ、瞬く間にPRIMROSE陣内13ヤードまで攻め込まれる。しかし、ここから何とか粘って拓殖大オフェンスを3rdダウン6ヤードの攻防にまで追い込む。そして、この3rdダウンは拓殖大QBにスクランブルから5ヤードのゲインを許すも、何とか4thダウンで1ヤード残しとなり、勝負は続くギャンブルプレーへと持ち越される。この勝負。PRIMROSEディフェンスとしては最低でもFDの更新のみに抑えたいところではあったが、結果は拓殖大QBにオプションキープから13ヤードを中央突破されてTDを献上。1ヤードの攻防はおろか、一発TDを許して遂に同点に追いつかれてしまう(キック成功で7対7)。 前半戦はこの後、PRIMROSEオフェンスが時間を消費しながらドライブし、40ヤードのFGチャンスを得たが、キックはあえなく失敗し、7対7の同点で終了となる。 後半戦後半戦はのっけからドラマチック。1stプレーの拓殖大のキックオフリターンで拓殖大KRに79ヤードのキックオフリターンTDを許し、前半戦に拓殖大オフェンスを効果的に止めることが出来ていなかったPRIMROSEにとっては、先にリードを許してしまうというドンヨリな展開(キック成功で7対14)。しかし、ここで(やや)メシアが出現する。リターンTDを許した直後の返しのキックオフリターンであったが、PRIMROSE陣内18ヤード付近でキックボールをキャッチしたKR竹澤(#25・2年生)が、キャッチ直後に訪れた拓殖大ファーストタックルをスルリとかわしてスピードに乗ると、味方の好ブロックにも助けられグイグイと加速。結局、そのまま82ヤードを走り切ってTDとなり、ドンヨリも束の間。KR竹澤(#25)のランが再びチームを『やる気モード』へと持って行ってくれた(キック成功で14対14)。 そして、第3Qは双方もう一回ずつ攻撃権を得るも、両チームとも無得点。もちろん、1プレー単位の単純比較では拓殖大の攻撃陣に押され気味の試合内容ではあったが、何とか(かんとか)同点のまま最終第4Qへと突入する。 しかし、第4Qに最初に突破口を開いたのは、やはり地力に勝る拓殖大だった。拓殖大オフェンスの攻撃は拓殖大陣内21ヤードから。1stプレーのオプションプレーに対し、PRIMROSEディフェンスは拓殖大QBに11ヤードゲインされ、1プレーでのFD更新を許してしまう。すると、攻撃の手を緩めない拓殖大オフェンスは、ここから縦パスで44ヤード⇒中央ランで10ヤードと、あっという間の速攻でFG圏内へと前進。このシリーズ。攻守両面出場のPRIMROSEディフェンスにはタックルミスが連発。また、パスカバーも球際の詰めが甘く、拓殖大WR陣にランアフターキャッチをズルズルと許してしまう展開。…が、しかし、何とか粘ってFGトライにまでは追い込むことは出来たのだが、この35ヤードのFGを拓殖大K(キッカー)に見事に決められ、ついにリードを許す展開となってしまう(14対17)。 しかし、まだ3点差。勝負は分からない。返しのPRIMROSEオフェンスは自陣33ヤードから。1stプレーのFB勝山(#8・2年生・DB兼任)のダイブは8ヤードとまずまずのゲイン。続くQB豊野(#4・2年生)のオプションキープが6ヤードゲインしてFDを獲得。ここから再びTB豊野(#4)のブラストプレーが9ヤードほどゲインして敵陣へと侵入すると、またまたTB豊野(#4)が右パワープレーから22ヤードをゲインしてFGを狙える圏内へ。ここから攻めあぐねてPRIMROSEオフェンスは34ヤードのFGトライを選択。K内藤(#70・3年生)の右足に運命を委ねる。しかし、キックは惜しくも外れて無得点。同点のチャンスを逃してしまう。 しかし、しかし、まだまだ3点差。ここから更にPRIMROSEディフェンスが粘りを見せ、再度攻撃権を獲得だ…といきたいところではあったが、やはり体力も限界。緊張の糸が切れたところで拓殖大オフェンスに、12プレー、80ヤードのダメ押しのTDドライブを許し、4Q終盤、結局10点差をつけられてしまう。しぶとくゲームを作ったPRIMROSEではあったが、地力に勝る拓殖大に最後は競り負け、万事休する形となった(試合終了14対24)。 総括前節よりは色々と改善された。…などと甘いことを言っても仕方がない。負けは負けであり、もう一度やったら勝てる…という試合内容でもなかった。やはり、チーム力、総合力では拓殖大が勝っており、我がPRIMROSEは劣っていた。試合は決められたタームでやって来るし、例えば人数が少ない事など、無いものを嘆いても仕方がない。練習をして、トレーニングをして、コミュニケーションをとることが勝てる要素を増やす唯一の手段であり、がむしゃらに取り組んでいかなければならない事だろう。選手・スタッフ皆がそれを自覚して精進あるのみだ。 (文:17期 丹野) BACK |