ゲーム解説

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
PRIMROSE 0 0 7 7 14
拓殖大学 0 3 7 0 10

二部昇格! V!

二部リーグとの入替戦の対戦相手は拓殖大学。同大オフェンスのベースはショットガンフォーメーション。ストレッチ系のランからそのフェイクのRPO(ランパスオプション)まで繋げ、更にはヒッチ、アクロス系のパスを中へ外へと投げ分ける。QBのスクランブル能力も高く、多くのチームが採用している流行りのオフェンスではあるが、三部リーグにおいてここまでバランス良くデリバリー出来ているチームは決して多くはない。そして、ディフェンスは4-3-R。守備範囲の広いSFを二枚擁し、状況に応じてそのSFをR(ローバー)として前線BOX内にフレキシブルに投入。選手の特徴を生かして形成された8メンBOXは、対戦オフェンスに簡単にはロングゲインを許さない強固な布陣であるといえるだろう。


前半戦


1Qは拓殖大のオフェンスからスタート。開始のダブルトラップで拓殖大RBに中央をきれいに17ヤード抜かれると、あっさりとFD(ファーストダウン)の更新&PRIMROSE(プリムローズ)陣内への侵入を許す。続けて中央へのショートゾーン。ここもOL対DLの1対1をきっちりと裁かれて9ヤードのゲイン。PRIMROSEディフェンスは当然中央に気を取られることになるが、ここからアウトサイドのWRにヒッチ系のパスを通され、中央から外へと大きく揺さぶりをかけられる。そして、パスの次は単純な中央のドローを9ヤードゲインされ、あれよあれよでPRIMROSE陣レッドゾーン内まで侵入を許す。しかし、ここからPRIMROSEディフェンスに見せ場。PRIMROSE陣内19ヤードからの拓殖大オフェンスの1stダウンであったが、先ずは左サイドへのショートゾーン。これに対し、PRIMROSEディフェンスはDE春原(#52・3年生)がオープンサイドにいち早く顔を出すと、拓殖大RBがスローダウン。その隙にOLB吉村(#75・3年生)がインサイドからアタックしてタックル。1ヤードのロスに抑える。続く2ndダウンは右サイドへのアウトサイドゾーン。今度は反対サイドのDE柳澤(#68・3年生)がいち早くオープンサイドに顔を出すと、拓殖大RBがスローダウン。その隙にOLB勝山(#8・3年生)がインサイドから抜け出してRBを捕捉。これが9ヤードのロスタックルとなり、3rdダウンで拓殖大QBにカウンターから右オープンを17ヤード走られるも、何とか3ヤード残しで4thダウンへと追い込む。ここで拓殖大オフェンスはFGを選択。合計29ヤードのFGであったが、拓殖大K(キッカー)がこれを外してPRIMROSEディフェンスは序盤の大ピンチを無得点で切り抜ける。

そして、返しのPRIMROSEオフェンスは自陣20ヤードから。1stダウンのHB豊野(#4・3年生)のスイープは3ヤードとまずまずのゲイン。しかし、2ndダウンのパワープレーはオフェンスラインのアサイメントミスもありノーゲインに終わると、3rdダウンのパスもあえなく失敗。3&アウトであっさりと攻撃権を拓殖大へと奪われてしまう。

2Qに入ってもPRIMROSEオフェンスはFDこそ奪うも、なかなか攻撃が続いていかない状況。そんな中でもディフェンス陣がふんばり、無失点を続けていたが、終盤になりいよいよ試合が動く。拓殖大オフェンスの自陣12ヤードからの攻撃であったが、アウトサイドのWRにスクリーンパスから7ヤードゲインされたのを皮切りに、SB(スロットバック=インサイドのWR)とアウトサイドのWRに4連続で次々とパスをヒットされてしまう。そして、すっかりパスに気を取られたPRIMROSEディフェンスに対し、今度は一転してのラン攻撃。QBのスクランブルにオプションと、気付けば9プレー70ヤードのロングドライブを許し、残り時間1秒という所でPRIMROSE陣内8ヤードまで前進され、拓殖大オフェンスはここでFGを選択。このキックを今度はきっちりと決められ、前半戦終了間際。遂に無得点の均衡が破られる(前半終了0対3)。


後半戦


後半戦に入り、ようやくPRIMROSEオフェンスに見せ場。3Q最初の攻撃は自陣35ヤードから。1stダウンは左サイドへのオプション。QB豊野(#4)の粘りのオープン展開が拓殖大CBにまで到達し、ここでTB竹澤(#25・3年生)にボールをピッチ。そのまま竹澤もゲインを重ね、合わせ技で11ヤードのゲイン。ハーフウェイ付近までボールを運ぶと、ここからTB豊野(#4)がパワープレーから右に左に19ヤード⇒14ヤードとゲインして一気に拓殖大陣レッドゾーン内まで侵入を図ると、続けてFB勝山(#8・3年生)がダイブで拓殖大ディフェンスの中央を突いて7ヤードのゲイン。更にTB豊野(#4)のパワープレーを絡め、じわじわと拓殖大ゴール前まで迫ると、最後はFB勝山(#8)がダイブから中央やや左に体をねじ込んで4ヤードのTDラン。逆転に成功する(キック成功で7対3)。

しかし、そこはお互いの意地をかけた入替戦。拓殖大もそんな簡単に折れてはくれない。返しの拓殖大オフェンスの攻撃は自陣41ヤードから。WRへのジェット系のランとRPOからのスラント系のパスでFDを一度更新され、PRIMROSE陣内へ侵入される。前半戦同様にここから粘りのディフェンスを見せ、失点をするにしてもFG(=3点)までに留めたかったところだが、拓殖大オフェンスに遂に本領を発揮されてしまう。トリップス体型(WR3枚を片側に並べた体型)からのSB(一番内側のWR)へのアクロス系のパスであったが、PRIMROSEディフェンスのLB陣とセカンダリー陣の間のシームに上手くコース取りをされると、このパスをきれいにヒットされ、勢いそのままにランアフターキャッチを許す展開にまで発展。結局、右オープンを40ヤード一気にまくられてTDを献上。僅か3プレーで59ヤードの逆転TDドライブを完結され、なかなかに重たい展開での失点を喰らってしまう(キック成功で7対10)。

拓殖大のハイパーオフェンスに圧倒され、もし、次のPRIMROSEのオフェンスシリーズが拓殖大ディフェンスに止められることになれば、いよいよ流れは完全に拓殖大へ…という状況ではあった。返しのPRIMROSEオフェンスは自陣31ヤードから。このままPRIMROSEの火は消えてしまうのか…。

1stダウンのFB勝山(#8)のダイブは2ヤードのゲイン。続くTB豊野(#4)のパワープレーが4ヤードのゲイン。3rdダウンはまあまあ残しの4ヤードとなったが、ここはQB豊野(#4)が左オプションキープから6ヤードをゲインしてコンバート。そして、ここで試合は第4Qへと突入。4Qは開始早々にTB竹澤(#25・3年生)に右オプションピッチから12ヤードのゲインが生まれて連続でFDを更新。敵陣へと侵入する。ここからFB勝山(#8)のダイブがゴリゴリで5ヤードのゲイン。そして、続くTB豊野(#4)のパワープレーが4ヤードのゲインで3rdダウンは1ヤード残し。再びのピンチだが、ここはTB豊野(#4)が右カウンターから3ヤードをゲインしてコンバート。ドライブはまだ続く。仕切り直しの1stダウンは敵陣33ヤードから。先ずはQB豊野(#4)が左オプションキープから7ヤードのゲイン。そして、残りの3ヤードはFB勝山(#8)の4ヤードのダイブで埋めて4度目のFD更新。敵陣22ヤード。FG圏内には入った。物語はどうフィニッシュされるのか。PRIMROSEオフェンスvs.拓殖大ディフェンス。ここから両者が揉み合った結果、敵陣21ヤードからの3rdダウン9というシチュエーションで、この試合最大の山場へと突入する。ややロングシチュエーションではあったが、FG圏内は継続中。4つ目(=4thダウン)もある。PRIMROSEオフェンスはここで大技に走らず単純なパワープレーを敢行。右カウンタープレーであったが、OT橋本(#56・3年生)が拓殖大DEをリリースしてダウンフィールドへ抜け、M(マイク=インサイドラインバッカー)をキャッチ。遅れてバックサイドからプルアウトしたOG柳澤(#68)とOT藤本(#57・3年生)がリリースされた拓殖大DEと、その後ろに備えるOLBをキャッチ。オフェンスラインの決死のこじ開けを探知したTB豊野(#4)は、このホールを一直線に駆け上がると、ここまで苦しめられた拓殖大FSもかわして21ヤードの独走TDラン。13プレー、69ヤード、8分強を費やしてのボールコントロールドライブが完結となった(キック成功で14対10)。

しかし、この時点で残り時間は3分少々。3Qの拓殖大オフェンスの3プレーでのTDドライブを考えると、全く侮れない時間を残したという状況だ。

返しの拓殖大オフェンスの攻撃は自陣40ヤードから。RBへのフラット系のパスを通され、FDを一度更新されるも、続くシリーズでPRIMROSEディフェンスに最後の見せ場が訪れる。拓殖大オフェンスは3QのTDプレーとなったSBへのアクロス系のパスを選択。これに対し、PRIMROSEディフェンスは左サイドからブリッツ(=通常最前線にはいないLBを攻撃開始と同時に最前線へと投入し、対戦オフェンスの攻撃スキームを初期段階で崩しにかかる奇襲作戦)を投入。これが奏功し、DE春原(#52)がフリーとなり拓殖大QBに一早くプレッシャーをかけると、拓殖大QBはたまらず左オープンへとスクランブル発進。そして、そのままオープンサイドに旋回を続けながらフリーのWRを探してランニングスロー。決してコントロールミスのボールではなかったが、フラットゾーンをキッチリとキープしていたSS大倉(#12・3年生)が、このボールをインターセプトに仕留めてターンオーバー。その後、PRIMROSEオフェンスがランプレーで時間を消費。試合はPRIMROSEオフェンスがボールを確保したままフィニッシュとなり、大接戦を制したPRIMROSEが二部昇格の栄光を手に入れた(試合終了14対10)。


総括


20人少々の我がチームは決して強いチームではなかったと思うが、最後までチーム行動を行った結果、対戦相手を少しだけ上回ることが出来た。アメフトの能力も、個体のスペックも全て相手の方が上だったと思うが、チーム行動が出来たかどうかという点で、ほんの僅かに、単にスコアの上だけで、我がチームが上回ったということだと思う。何れにしても、真っ向勝負をしてくれた拓大さんには感謝である。

4年生は選手2名、マネージャー3名、計5名の小所帯だ。決して大きな影響力を発揮できるような人数ではないが、前シーズンに二部リーグから降格した悔しさを忘れることなく、チーム作りに励んでくれた。二部リーグで躍動するには、はっきり言ってまだまだ足りない部分だらけではあるが、再びスタート地点に戻してくれたことに感謝したい。そして、残された者達(3年生以下)は4年生が勝ち取ってくれたこのスタート地点に、来シーズン、どのような準備で、どのようなチームで立ってくれるのだろうか。大きなチャレンジの一年として欲しい。

 今季も春は選手13人からのスタートだった。春季はスクリメージ・合同練習のみで、練習試合は1試合もできなかった。そんな中、多くのOB・OGにグランドに足を運んでもらい、練習を手伝ってもらった。また、コーチ陣もそれぞれの持ち場を全うし、どこまで教えるべきか指導の範囲を的確に理解し、責任感を持って指導に当たってくれた。この若手OB・OG&コーチ陣のパワーが無ければ、優勝・二部昇格はおろか、秋に試合をするところまでチーム状態を高めることすらできなかったのではないかと思う。本当にみなさん。どうもありがとう。

(文:17期 丹野)

BACK