ゲーム解説
先制攻撃成功も分厚い2部の壁二年前は2部リーグの壁にドカンと跳ね返された。そして今季再び得た2部リーグでの挑戦権。どんなシーズンになるのだろうか? 期待と不安が交錯する中でキックオフのホイッスルが鳴らされた。開幕戦の対戦相手は神奈川大学。同大オフェンスのベースはショットガンフォーメーション。昨年までは1部リーグ(BIG8)にいた強豪校。長身QBから繰り出されるショート・ミドルのパスワークは説明の必要もなく精度は高い。そして、ディフェンスは4‐3‐R。特徴は何といってもその機動力。セカンダリー陣も含め、一人一人の守備範囲が広く、ロングゲインを奪うのがなかなかに難しいといえる集散型の守備だ。 前半戦先制したのはPRIMROSE(プリムローズ)。キックオフ直後の自陣33ヤードからの攻撃。TB豊野(#4・4年生)のゾーンストレッチが10ヤードゲインし、幸先良くこの試合最初のFD(ファーストダウン)を奪うと、続けてFB勝山(#8・4年生)が中央ダイブから11ヤード⇒24ヤードと好ゲインを連発して一気に神奈川大陣内11ヤードまで侵入。そして、ここからのTB豊野(#4)のパワープレーがラインマンもろともゴリゴリと押し込んで8ヤードのゲイン。ゴールライン目前までボールを持ち込むと、最後もTB豊野(#4)が左オフタックル付近からエンドゾーンに体をねじ込んでTD。8プレー、67ヤード。ラインマンとバックス陣が一体となって怒涛の先制攻撃を成功させる(キック成功で7対0)。 2Qに入ってもPRIMROSEオフェンスの勢いは継続モード。自陣41ヤードからの攻撃であったが、最初のTB豊野(#4)のスイープが20ヤードのゲインとなり敵陣へと侵入すると、ここからQB豊野(#4)が右に左にオプションキープからゲインを重ね、敵陣20ヤードへと到達。そして、左右に振った後はFB勝山(#8)の中央ダイブ。これが7ヤードのゲインとなり神奈川大陣内レッドゾーンまで侵入すると、最後はTB豊野(#4)が左スイープから7ヤードをスワーブしてTD。良いリズムで追加点をゲットする(キック成功で14対0)。 序盤戦の流れは完全にPRIMROSEにあったが、その流れを簡単には継続できないのが3部リーグとは違うところ。神奈川大オフェンスもパス攻撃の比重を増やして徐々に攻め手を変更。対するPRIMROSEディフェンスも何とか喰らいついて無得点に抑えてはいたが、2Q中盤から11プレー、74ヤードのロングドライブTDを神奈川大オフェンスに奪われ、1TD差となったところで前半戦が終了となる(前半終了14対7)。 後半戦後半戦。3Q序盤は神奈川大オフェンスにPRIMROSE陣内9ヤードまで前進を許すも、神奈川大K(キッカー)のFGトライが失敗に終わり、PRIMROSEディフェンスはここを無得点で切り抜ける。そして、返しのPRIMROSEオフェンスは自陣20ヤードから。最初のFB勝山(#8)の中央ダイブが9ヤードのゲイン。続くTB豊野(#4)のゾーンストレッチが14ヤード⇒FB勝山(#8)のダイブが5ヤードのゲインとなり、ボールはハーフ付近へと移動。そしてここから再びオフェンスラインとバックス陣によるゴリゴリ。パワープレーとゾーンストレッチで神奈川大陣内レッドゾーンまで侵入すると、ここでTB豊野(#4)に右スイープから15ヤードのロングゲインが生まれ、神奈川大ゴール前へと接近。最後もTB豊野(#4)が左オフタックルからエンドゾーンに飛び込んで1ヤードのTDラン。後半戦もPRIMROSEが先に得点をあげる(キック成功で21対7)。 試合はここで最終4Qへと突入。我がPRIMROSEにとってここまでは理想的な展開であったが、やはりそこは2部リーグ。昨年まで1部リーグで鎬を削っていた神奈川大の闘志はまだまだ衰えておらず、ここから両チームによる死力を尽くした攻防戦が繰り広げられる。 返しの神奈川大オフェンスは神奈川大陣内34ヤードから。1stダウンのフェード系のパスはPRIMROSEディフェンスのSF竹澤(#25・4年生)が上手くゾーン割りをしてカバード。しかし、続く2ndダウンでアクロス系のミドルパスをフィールド中央付近でヒットされると、神奈川大WRにランアフターキャッチを許し、これが54ヤードのロングゲインとなり、PRIMROSEディフェンスはたちまち自陣のゴールラインを背負う展開を強いられる。ここから神奈川大QBがフェード系のパスでエンドゾーンの角を狙う。このパスに対し、CB池田(#3・1年生)がマンツーマンで必死に喰らいつくも一歩及ばずTDを献上。僅か4プレーで66ヤード。時間効率最高の正にハイパーオフェンスで1TD差まで追い上げられてしまう(キック成功で21対14)。 しかし、この返しのキックオフリターンでPRIMROSEのリターンチームに見せ場。自陣5ヤード地点でキックボールを確保したKR(キックリターナー)豊野(#4)が、ラインマンの好ブロックに支えられて独走ルートを確保すると、追いすがる神奈川大カバーチームをサイドライン際で何とか振り切り95ヤードの特大リターンTDを決め、再び点差を2TD差まで広げる(28対14)。もちろんこのTDでチームは大いに盛り上がった。しかし、直後にその喜びもつかの間…の展開が訪れる。返しの神奈川大のキックオフリターンで、今度は神奈川大KRに86ヤードの特大キックオフリターン返しを喰らい、またまた1TD差へと逆戻りしてしまう(キック成功で28対21)。 完全にバーンアウトしたPRIMROSE。こうなるとモメンタムは一気に神奈川大に傾く。PRIMROSEオフェンスは返しの攻撃を神奈川大ディフェンスに3&アウトでストップされ、あっさりと攻撃権を奪われると、続く神奈川大オフェンスは神奈川大陣内10ヤードと深い所からの開始であったにもかかわらず、アウト⇒アウト⇒スラント⇒フェード⇒フェードと、5連続でパスをヒット。PRIMROSEディフェンスは電光石火の如く90ヤードのTDドライブを許し、28対28。スコアボードには遂に同点と表示される。 この流れをどこかで止めなければ…。しかし、勢いを失ったPRIMROSEは返しのオフェンスでも連続の3&アウト。その後のPRIMROSEディフェンスも、神奈川大オフェンスに37ヤードのTDドライブを決められ、『遂に同点』もつかの間、遂に遂に逆転を許してしまう(キック成功で28対35)。 この時点で試合時間は残り1分50秒と少々。猛暑の中の少人数対決。死力を尽くしたぶつかり合いはこれにて終了か…と思われた。しかし、ここからPRIMROSEオフェンスが2ミニッツオフェンスで最後の意地を見せる。自陣30ヤードからの攻撃。1stダウンのフェードはWR竹間(#43・2年生)が神奈川大CBを抜き去ってはいたが、QB豊野(#4)から投じられたフライボールとタイミングが合わずにインコンプリート。2ndダウンはTB本間(#7・2年生)のドロー。これが9ヤードのゲインで3rdダウンは1ヤード残しとなるが、ここからTB豊野(#4)が右パワープレーから渾身のランで26ヤードのゲイン。残り時間は1分を切るも、何とか敵陣35ヤードまで入り込む。PRIMROSEオフェンスはここからランプレーを3回打ってFDを1回上乗せ。敵陣22ヤード。タイムアウトも無く、ボールをスパイク(=意図的にパス失敗)して、とりあえず時計を止めたところで2ndダウン10ヤード。残り時間は25秒。FDを上乗せしない限りは時計を止められない事を考えると、時間的にあと1プレーか2プレーと言ったところか…。追い込まれたPRIMROSEオフェンスは、ここで勝負のプレーアクションパスを選択。QB豊野(#4)から投じられたラストボールは、何とかTE勝山(#8)の手に収まり22ヤードのTDパスが成功。キックも決まり土壇場で35対35。最後の最後。何とか意地を見せ、同点に追いつくことができた(試合終了35対35)。 総括最終ドライブで意地を見せ、何とか同点へと持ち込むことはできた。二年前より少しは粘り強くなったと評価できるのかもしれないが、簡単には喜ぶことができない、課題が多く残る試合展開であったと言わざるを得ないだろう。次節まで時間は限られるが、課題を克服するためにはチームとしてやるべきことを意思統一し、コンパクトに練習を重ねていかなければならない。皆が素直にこのスポーツに向き合うことができたならば、チーム力は必ず向上していくはずだ。 (文:17期 丹野) BACK |